侍ジャパン・岩崎優のすごさを大学時の恩師が解説。決して速くない直球が打たれないワケ (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Kyodo News

 その年、平井はドラフト4位でヤクルトに指名され入団。11年間在籍して5勝を挙げ、今季からは四国独立リーグの愛媛マンダリンパイレーツでプレーしている。

「岩崎と平井がブルペンで並んで投げたんです。平井は最速149キロだったのですが、岩崎は130キロ前後。でも、キャッチャーのうしろやバッターボックスに立つ、どう見ても岩崎のほうが速いんです」

 そういえば、ボールの回転数など、いわゆる"ボールの質"を計測して数値化する「トラックマン」によると、今の岩崎のストレートは、実際は140キロ程度だが、「体感スピードは150キロ台」になると以前聞いたことがある。岩崎のボールについて、永田監督が説明する。

「体を沈めるようにして、大きく足を踏み出し、体重移動に時間をかける。左手に持ったボールが体に隠れる時間も長く、バッターは出どころがわからない。そこから最後の最後で体を一気に切り返して投げてくるから、バッターはタイミングが取りづらく、差し込まれてしまう。すごく速く見えるのは、この球持ちのよさがあるからです」

 初めて対戦する外国のチームに、岩崎のボールがどこまで通用するか楽しみだと永田監督は言う。

「大学の時はいろいろありましたからね。2年の時にチェンジアップを覚えて、三振をたくさん奪えるようになったんですけど、緩急差を出そうとして腕の振りが緩んでしまって......。『それだと一部に上がった時に通用しないよ』とダメ出ししたこともあったし、3、4年の時はチーム事情もあってなかなか勝てなくてね。それでも岩崎の持ち味を生かしていけば絶対プロでも活躍すると、ずっと思っていました」

 岩崎が指名された年、阪神がドラフト1位で指名したのが同じ大学生左腕の岩貞祐太(横浜商科大)だった。

「岩貞くんもいいピッチャーですけど、先に戦力になるのは岩崎のほうかもしれないって、ずっと思っていました」

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