川崎憲次郎が今季バケたパの投手4人を診断。19歳左腕の技術に「普通は体がおかしくなる」
川崎憲次郎が語る今季バケた投手@パ・リーグ編
混戦が続く今季のパ・リーグで、首位オリックスを押し上げているのが若手の台頭だ。
とりわけ高卒2年目の左腕、宮城大弥の活躍が目覚ましい。開幕2戦目で西武打線を封じ込めると、ここまで14試合に先発してハーラーダービートップタイの9勝1敗、リーグ2位の防御率2.10と快投を続けている(今季の成績は7月16日時点。以下同)。
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2019年ドラフト1位で興南高から入団した宮城大弥この記事に関連する写真を見る「正直に言うと、『なんで勝てるの?』って最初は思いました。すごいピッチャーなんですけど、とくに迫力があるわけでもないので」
解説者の川崎憲次郎氏は、第一印象をそう振り返る。逆に言えば、こうした"ギャップ"こそ勝てる秘訣なのだろう。川崎氏が続ける。
「フォームに迫力があるわけではないけど、ストレートは146、147キロ出ます。『えっ? そんなに出ているの?』って感じました。
それにスライダーがエグい。曲がりが大きくて、左バッターが全然合わないんです。なんなんだろうって、逆に聞きたいくらいですよ。今の時代、あれだけ左バッターが打ちにくそうにしているのは珍しい」
被打率.178はリーグトップ。まだ19歳で表情はあどけなく、五厘刈りにして話題になった"愛されキャラ"だが、高校時代に「琉球じじい」のあだ名をつけられた左腕は老獪なピッチングが持ち味だ。
たとえば、投球板を踏む位置を、左打者には三塁側、右打者には一塁側と使い分ける。わずか左右24センチの幅だが、投手にとってかなりの高等技術だと川崎氏は説明する。
「プレートの端から端まで使うとしたら、全然角度が違います。見える景色がまるっきり違うんですよ。それに合わせて投げようと思うと、普通は体がおかしくなります。僕も何回かやったことがありますけど、難しすぎました」
こうした技術を駆使しながら、宮城は小気味いいリズムで投げていく。だからこそ、打者が後手に回らされると川崎氏は見ている。
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