片岡篤史は松坂大輔に「謝罪されました」。3年前に初めて話したあの空振りシーン (2ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

 片岡と松坂の初対戦は、初回二死、走者なしの場面。カウント2-2から松坂が投じたインハイへの155kmの直球を片岡が豪快にフルスイングするも、バットは空を切った。

「当時、自分は調子がよくて、伊良部(秀輝)の球でも空振りしない自信がありましたし、四球を取ることにも自信がありました(1998年・2000年の四球数はリーグ最多)。普段であれば、あのコースは見逃していると思うんですが、直球が来た時にストライクと思って振りにいきました。あんなふうに足から崩れるような空振りは、現役時代を通じてあまりしたことがないんですけどね。

 当時の東京ドームはスピードガンで球速が出にくくて、伊良部でも150kmが計測されることは稀でした。そんな中での155kmですから。『可愛い顔をした兄ちゃんが、こんなにエグい球を投げるのか』と(笑)。松坂はメジャー時代もすごい球を投げていましたが、日本のマウンドで投げた球の中では、最高の球だったんじゃないかと思いますね」

 勢いづいた松坂は、デビュー戦で8回2失点と好投し、プロ初登板・初勝利を挙げた。以降もイチローをはじめとした球界を代表する打者たちと名勝負を演じるなど、長らく西武、日本球界のエースとして君臨し続けた。片岡は言う。

「イチローと松坂の対戦は野球界を盛り上げましたし、僕らも松坂と対戦する時は気持ちの入り方が違いました。特に自分は、あのように豪快な空振り三振を喫していたので、余計に気持ちが入っていましたよ」

 松坂の怪物ぶりを示すシーンとして、プロデビュー戦での片岡との対戦時の映像は、幾度となくメディアで紹介された。長い月日が流れた2018年、片岡が阪神の一軍ヘッド兼打撃コーチを務めていた際、松坂と話をする機会があったという。同年、ソフトバンクから中日に移籍して1年目の松坂は6勝を挙げたが、ある試合前の練習時にグラウンドで言葉を交わした。

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