エルドレッド「ざるうどんが恋しい」。カープ史上最も愛された助っ人が選手時代の思い出や大谷翔平を語った

  • スポルティーバ●取材・文 text by Sportiva
  • photo by Kyodo News

2012〜2018年の7シーズンにわたって広島カープに在籍したブラッド・エルドレッド氏。現役引退を発表した2019年には、外国人選手では異例となる引退セレモニーが行なわれた。そのプレーや人柄から、カープ史上「最も愛された助っ人」と呼ばれ、現在はカープの駐米スカウトを務めるエルドレッド氏に独占インタビュー。引退後の生活やカープ時代の思い出、自身がスカウトしたケビン・クロン選手への期待などについて語ってもらった。

2019年の現役引退後、カープの駐米スカウトを務めるエルドレッド氏2019年の現役引退後、カープの駐米スカウトを務めるエルドレッド氏

―― 現役を引退して約2年。現在はどのように過ごしていますか?

「カープの駐米スカウトとしてアメリカ各地で試合を視察しています。今日(6月9日に取材)もオハイオ州トレドにいて、今、マイナーリーグの視察からホテルに帰ってきたところ。家にいると4人娘が邪魔してくるので(笑)、取材を受けるのは遠征先のホテルが適していますね」

―― 引退後、家族と一緒に過ごす時間も増えたのでは?

「そうですね。家にいる時間は、家事をやったり、子どものスポーツの練習に付き合ったり。4人中2人がスポーツを習っていて、長女はバレーを、次女はバレーとソフトボールをやっています。自分が野球を始めた幼少期を見ているようで、楽しいです」

―― 今でも広島で過ごした日々を思い出しますか?

「もちろん! 子どもたちは僕の応援歌を覚えていて、家で歌ってます(笑)。スカウトとして野球の試合を観ている時、たまに不思議な気持ちに襲われるんです。選手時代は外から野球を見ることがあまりなかったので、『あぁ、家族はこうやって僕のプレーを観客席やテレビで見ていたんだ』って。そんな感慨とともに、広島の街並みやドライブで訪れた場所の景色が思い出されて......。すごく懐かしい気持ちになります」

―― 日本では、大谷翔平選手(エンジェルス)の活躍が連日報道されています。アメリカでも大谷選手は注目の的ですか?

「アメリカでも同じですよ。スポーツニュースも主役の日が多い。『105年ぶりに、先発登板した翌日に1番打者として試合に出場した!』とか、大谷は試合に出るだけで"ストーリー"になりますからね。正真正銘のスーパースターです」

―― 2013年シーズンの交流戦では、大谷投手から死球を受けて激高する姿もありました。

「実はそのシーズンの開幕直後、巨人戦でデッドボールを受けて右手(右第5中手骨)を骨折したんです。それで6月に復帰した直後に、今度は左手に大谷から死球を受けたことで、『またケガをしてプレーできなくなったら......』という焦りがあって。そのフラストレーションが出てしまった。大谷が故意じゃないことはわかっていたし、彼に対して怒ったというわけではないんです」

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