谷繁元信「ずる賢さが足りない」と指摘。セ・リーグ捕手を細かくチェック (3ページ目)
エースキャッチャーとは谷繁氏による表現で、"レギュラー未満の第一捕手"という位置づけだ。バッテリーの中心として牽引しながら、近い将来、正捕手を掴んでほしいという期待を首脳陣から寄せられている。
「1年間をトータルで考えた時、エースキャッチャーという存在ができないと、チームの流れが出てこないと思っています。だから、少なくとも100〜110試合守れるエースキャッチャーを作っていく。体力、知力の体力に加え、ピッチャーやベンチの信頼を得られるかがポイントです」
阪神、巨人を追いかける中日は、交流戦に入って状態を上げている。とくに奮闘が目立つのは、正捕手の木下拓哉だ。
木下は全59試合のうち53試合で先発マスクをかぶり、打率.271(リーグ18位)、22打点(リーグ16位)とバットで結果を残しながら、チーム防御率2.89と12球団最高の成績で投手陣を引っ張っている。盗塁阻止率.394はリーグ2位だ。
木下がトヨタ自動車から中日入りした2016年、監督を務めていたのが谷繁氏だった。
当時からキャッチング、打撃ともに一定の水準に達し、他の捕手より伸びしろも見えた木下を"エースキャッチャー"にしたいと谷繁氏は考えたという。ところが春季キャンプにやってくると、ペナントレースを戦うには体力が足りなかった。
「攻守にいいものを持っていましたが、そのすべてに影響しそうなほど体力がないと、僕は判断しました。これでは50試合ももたないだろうと。まず1年間は体力をつけさせて、そこさえプロのレベルに達すれば、ある程度の力を出す選手になるだろうと思っていました」
プロ6年目の今季、29歳になった木下は攻守で高いパフォーマンスを発揮している。今季の中日は勝ち頭の柳裕也を筆頭に、エース大野雄大、小笠原慎之介など投手力が強みで、木下のリードもカギを握りそうだ。
セ・リーグで、その中日のひとつ上を行くのがヤクルト。決して前評判は高くなかったものの、3番・山田哲人、4番・村上宗隆が中心に座る強力打線が牽引している。
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