谷繁元信「ずる賢さが足りない」と指摘。セ・リーグ捕手を細かくチェック
今季のプロ野球は開幕から約60試合を消化し、セ・リーグでは阪神が一歩抜け出している。得点はリーグ1位タイ、失点は同2位と、攻守にバランスのいい戦いぶりだ(成績は6月9日時点)。
好調のポイントは枚挙にいとまがないなか、立役者のひとりに正捕手の梅野隆太郎が挙げられる。全56試合のうち54試合で先発マスクをかぶり、打率.228(リーグ24位)、18打点(リーグ22位)。チーム防御率3.36(リーグ2位)と投手陣をうまくリードしている。
好調な阪神の投手陣を牽引する梅野隆太郎この記事に関連する写真を見る 通算27年の現役時代に捕手としてゴールデングラブ賞に6度輝き、2014年から2016年まで中日の監督を務めた谷繁元信氏は梅野をこう評す。
「今年はすべていい。もともと打力はありますが、とくに今年はチャンスで意味のある打点を挙げている。チームの勝率も防御率もいい数字が残っていますしね」
チームに定位置がひとつしかない捕手は、評価の難しいポジションだ。とくに賛否両論寄せられることの多いリードは「正解がない」。
では、首脳陣は捕手をどのように評価しているのだろうか。自身も長らくマスクをかぶり、監督経験もある谷繁氏が説明する。
「リードがよくても勝てない時はあるし、逆に悪くても勝てる時はあります。リードは評価しづらいものだから、マスクをかぶっていた時の防御率と勝率、それに盗塁阻止率、パスボールの少なさなど数字で評価します」
強肩に定評のある梅野だが、今季の盗塁阻止率.231はリーグ5位。捕逸2はリーグ最多タイだ。ただし、現段階では母数が少なく、評価の対象にしにくい。
もうひとつの持ち味がブロッキング、つまりワンバウンドのボールを止める技術だ。股関節が硬いなどブロッキングに難がある捕手の場合、投手はベース板の前で落ちるような変化球を使いにくくなり、配球に影響が出ることもある。梅野のブロッキングは谷繁氏の目にどう映っているだろうか。
「うまい部類に入ると思いますね。個人的にはそれほどいい形に感じないけど、結果的には止めています。あれだけ止めるということは、ピッチャーからの信頼はあると思います」
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