里崎智也が語る「ボビー・バレンタインが最高の監督である理由」
野球人生を変えた名将の言動(1)
里崎智也が語るボビー・バレンタイン 前編
アスリートの競技人生は、指導者との出会いによって大きく変わる。ロッテで長らく正捕手として活躍し、リーグ優勝(2005年)と日本一(2005年、2010年)に大きく貢献した里崎智也もそのひとり。2004年、2度目となるロッテの監督に就任したボビー・バレンタインに重用され、華々しいキャリアを重ねていった。
当時のバレンタイン監督は、独特な起用法や采配で選手のベストなプレーを引き出し、2005年には長らく低迷していたチームを31年ぶりのリーグ優勝、日本一に導いた。また、画期的なファンサービスも次々に推進し、ロッテのイメージはもとより、パ・リーグ全体のイメージを大きく変えた功労者でもある。
そんなバレンタインとのエピソード、"上司"としての魅力を、あらためて里崎智也に聞いた。
バレンタイン監督(左)に起用され、日本を代表するキャッチャーになった里崎――里崎さんにとって、バレンタイン監督はどんな方でしたか?
里崎智也(以下:里崎) 選手にとっての「いい監督」の条件はひとつしかありません。実績があったり、名将と言われている監督ではなく、自分を使ってくれて、自分の話を聞いてくれる監督です。それしかないんです。だから、僕にとってボビーは最高でした(笑)。
会社も一緒だと思います。どんなに能力が優れている上司でも、自分を起用してくれなくて、言うことを聞いてくれなければ、「最高の上司だ!」とはなりませんよね。
――バレンタイン監督も、里崎さんも、常にポジティブな印象があります。お2人の相性はどうでしたか?
里崎 相性の良し悪しはわかりませんが、お互いにとってメリットがある関係でした。ボビーにとって僕はチームを勝たせる戦力で、僕にとってボビーは起用してくれる監督。「この人は自分にとって得があるか」。結局のところ、人と人とのつながりはそれが大きいと思います。ボビーとは、そういった価値観が合っていたんでしょうね。
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