秋山翔吾の後継者争いに突如現れた西武の新星・若林楽人とは何者だ?
昨年のドラフトで西武から4位指名を受けた若林楽人(がくと)が、シーズン序盤から外野の一角を占めるなど、奮闘している。
駒大苫小牧高校時代から、いかにも野球がうまそうな雰囲気を漂わせていた選手だった。動く前から全身のしなやかな運動が想像できるスリムながら均整のとれたシルエット。そんな若林のユニフォーム姿は、グラウンドでひと際目立っていた。
ここまで(5月2日現在)パ・リーグトップの12盗塁を記録している西武・若林楽人 1学年上に伊藤大海(現・日本ハム)がエースとして君臨していて、チームも強かったから若林を見る機会も多かった。高校時代の若林は外野だけでなく、三塁も守ったりしていた。
当時の身長は175センチほどで、特別長身というわけではなかったが、足が長くてストライドも大きく、ダイナミックな走りが印象的だった。とくにロングヒットで一塁ベースをターンしたあたりからの加速力は、見ているだけでスカッとした。
2015年夏の甲子園で、関東一高のオコエ瑠偉(現・楽天)が見せてくれた"アスリートの走り"が重なって見えた。
昨年の西武のドラフトは「なんとしても野手を!」の大号令のもと、1位で渡部健人(桐蔭横浜大)を筆頭に、育成ドラフトも含めて計7人もの野手を指名した。
秋山翔吾(現・レッズ)の抜けた穴は大きく、また栗山巧と中村剛也の後継者探しも急務となっていた。
指名された7人のうち、バッティングに特長のある選手は6人。いわゆる「三拍子揃い」のタイプは若林だけ。おそらく、秋山の後釜を期待しての指名だったに違いない。
オープン戦から開幕当初は下位を打っていた若林だったが、4月4日にプロ初安打を記録すると、7日には楽天・則本昂大からプロ初本塁打。9日の試合では初めて1番として起用され、チームに欠かせない戦力となる。
一軍の実戦経験を積むほど、プレーのバリエーションが広げられる。そんな際立った野球センスの持ち主であることを証明しはじめている。
駒澤大時代は2年からレギュラーポジションを獲得して、大きな故障もなくその位置をまっとうした。ただ、それまであまり印象的な場面がなく、正直「プロはどうかな......」と思っていた。ところが、4年秋のシーズンになって若林のバッティングが急に変わった。
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