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パフォーマンスにギャラードが激怒。それでもラミレスは「アイーン」を続けた (2ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

【実は「パフォーマンスは難しい」】

 あらためて、ラミレス氏に「パフォーマンスの意義」について尋ねると、その口調はさらに滑らかになった。

「パフォーマンスは子どもにすごく喜ばれるんです。子どもたちはハッピーな気持ちになれるし、"また見たい"と野球に関心を持つきっかけにもなります。子どもたちを喜ばせるという意味では、パフォーマンスはとても効果的です。現役時代はもちろん、このことを意識していたし、監督になってからも、選手たちには『積極的にパフォーマンスをしなさい』と伝えていました」

 しかし、「パフォーマンスは難しい」とラミレス氏は続ける。

「パフォーマンスは決して簡単なものではないんです。きちんと成績を残せなかったら、ファンの人からは『アイツ、全然活躍してないのにパフォーマンスばかりやっている』と批判される可能性があります。それはとてもプレッシャーがかかることです。でも、子どもたちが喜ぶのならば、そのプレッシャーを受け入れて、パフォーマンスをすべきだと私は思います」

 ラミレス氏がパフォーマンスの重要性に気づいたのは日本に来てからのことだった。いや、そもそもアメリカには「パフォーマンス」という概念はなかったという。あれは、ラミレス氏の来日1年目、2001(平成13)年のことだった。

「スワローズに入団した1年目のキャンプで、当時チームメイトだった度会(博文)さんから『アイーン』を教わって、意味もわからずやっていたら、子どもたちが大喜びをしてくれました。それで、みんなに『これからも続ければ?』と言われたけど、メジャーでは、こんなパフォーマンスはしません。むしろ、相手を侮辱する行為だと受け取られます。実際、当時中日に在籍していた投手の(エディ・)ギャラードは私のパフォーマンスに激高し、険悪な状況になったこともありました」

 ラミレス氏自身も、「パフォーマンスはメジャーでは絶対にご法度だ」と理解していた。しかし、日本では多くの子どもたちが、「アイーン」をはじめとする自分のパフォーマンスを望んでいることも理解していた。

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