田中将大は「ハリネズミ」。楽天・石井一久監督がGMとの違い、チームづくりを語る (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Sankei Visual

── そういう判断力はゲームに出てこそ身につくものだと思います。今年を勝ちに行くということは、瞬発的な判断力を身につけさせるために我慢して若い選手を使うということが難しくなりませんか。

「そこは今、外国人選手が来日できないという事情もあって、若い子には絶好のチャンスが巡ってきていますよね。外国人選手が来たら優先順位としてはそちらが高くなってしまいますから。そういう意味で、外野は島内(宏明)がレフトにいてくれるとして、センターとライトが空きます。そこに若い子が入って、どこまでそのスポットを自分のものにできるか。

 外国人選手が来日して一軍の試合に出られるようになった時、さて、どうしようかと悩むのを僕はすごく楽しみにしています。田中(和基)、辰己(涼介)、小郷(裕哉)、19歳の武藤(敦貴)といった子たちには熾烈な争いをしてほしいし、とくに田中、辰己にとってはプロで進むべき道が決まってしまう大事なシーズンになります。だからこそ、ぜひ彼らにはスポットを奪い取っていただきたいと願っています」

── ピッチャーに関しては昨シーズン、25歳に満たない若いピッチャーで先発したのは藤平(尚真)投手の1試合だけという状況でした。今年の先発ローテーションの候補を見ても、36歳の岸孝之投手、34歳の涌井秀章投手、30歳の則本昂大投手に32歳の田中将大投手。ドラフト1位の早川隆久投手が開幕ローテに入ってくることは期待していいと思いますが、ビッグネームが並んでいるということは裏を返せば、若いピッチャーがそこへ割り込めていないということにもなります。

「そうなんですよね。ウチは『通算500勝越えのローテーション』なんて書いてもらっていますが、ベテランが多いからこそのキャリアなんです。ならば僕も、ローテーションの1枠は若い子に使っていきたいなと考えています。ただし、奪いに来てくれなければスポットを渡す気はありませんし、岸、涌井、田中、則本の次というのではなく、その中の2番目、3番目に割って入ってくるようなピッチャーでなければ、1年間ローテーションには定着できません。そういう素材でなければ、無理にローテーションに入れても将来的に意味のない話になってしまうのかな、とも思います」

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