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稲村亜美流のプロ野球の愛し方。「あれはエグい」と気になる若手選手は? (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 立松尚積●写真 photo by Tatematsu Naozumi

 それでも、稲村さんに絶望感はなかった。

「お仕事の不安はありますけど、仕事がないのはみんな同じだから仕方ないかと切り替えました。むしろ宅トレ(自宅トレーニング)をしたり、好きなアニメや漫画をたくさん読んだり、お母さんと過ごす時間が増えて仲良くなったり、楽しかったですね。私は自粛生活に向いているんだなと思いました」

 あり余る時間を「自分を見直す時間」と有意義なものへと昇華させた。そして、稲村さんは晴れやかな表情で「この自粛期間に人生観が変わりました」と語った。

「今まで私はオフがあったら、分刻みで予定をみっちり詰め込んで計画を立てるタイプでした。でも、今思えば何をそんなに生き急いでいたのかなと思うんです」

 自然体で、好きなものを好きと言う。12球団のグッズを身にまとう稲村さんは、心の底から野球界の復活を願っている。

 稲村さんのSNSをきっかけに、新たに野球に興味を抱く人もいるかもしれない。そんな人に野球の魅力を伝えるとしたら? そう問うと、こう答えた。

「野球はのんびりと見られるスポーツだと思うんです。ボールや人が常に動いているわけではないし、試合時間が決まっているわけでもない。試合の合間に飲食やおしゃべりだって楽しめるし、時間を忘れられる空間だと思います。そんなリラックスタイムを味わってほしいですね」

 誰よりも野球場で至福のリラックスタイムを堪能したい――。そんな本音を胸の内に秘め、稲村亜美さんは今年も野球の魅力を発信し続ける。

(後編:「イップス」の苦悩と再起への思い)

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