球団事務所には「呼ばれないでくれ!」。由規が明かす昨季終盤の揺れる思い (4ページ目)

  • 白鳥純一●取材・文 text by Shiratori Junichi
  • photo by Sankei Visual

――トライアウトを終えられたときの率直な感想を教えてください。

「受験の前とあとでは、心境にかなり違いがありました。外から見ていたトライアウトは『すごく切迫詰まったもの』という印象だったのが、実際に受験してみると、悲観的なものはあまり感じなかった。僕だけじゃなく、参加した選手たちがすべてのプレーを楽しんでいました。もちろん結果を残さないといけない立場ではあるのですが、いい意味で開き直ってプレーができたと思います」

――間もなく、NPB復帰を目指すシーズンが幕を開けます。記者会見では「スタイルチェンジも視野に入れている」とのことでしたが、具体的なイメージはありますか?

「ストレートを生かすために、得意なスライダーを投げ分けたり、新しい球種を覚えたりする必要があると思っています。これまでは球種を増やしても、試合になるとスライダーとストレートに頼りがちだった。でも、野球は日々進歩しているので、それに合わせて自分も投球スタイルを変更する必要がありますし、脱皮していかなければいけないと感じています。

 今年は、地元の宮城だけでなく、日本全体にとっても大切な1年。圧倒的なパフォーマンスで埼玉武蔵や、BCリーグ全体を盛り上げて、たくさんの人に勇気を与えられるよう頑張りたいと思います」

(後編:10年目を迎えた東日本大震災への思い)

■由規(よしのり)
1989年12月5日生まれ。宮城県仙台市出身。投手。仙台育英高から、5球団競合の末に2007年高校生ドラフト1巡目でヤクルト入り。2010年に12勝、日本人最速(当時)の161kmを記録するも度重なるケガに苦しむ。2018年にはヤクルト、2020年には楽天を自由契約になり、今年1月にBCリーグの埼玉武蔵に入団した。

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