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「頭を下げる」常識からの改革。ダイエーとオリックスがパのビジネスを変えた (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

――パ・リーグになかなか観客が入らない時代、セ・リーグの人気をどう見ていましたか?

「先ほどセ・リーグ人気と言いましたが、極論をいえば、リーグに巨人があるかないかの違いですけどね。僕の感覚では、当時は野球ファンが100人いたら70人が巨人ファン。残りの10何人かが阪神ファンで、他の球団のファンは少なかった印象があります。ロッテに関わっていた私からすると『営業などをしなくても球場にファンが詰めかけるんだろうな』と思っていました。逆にそれが、リーグ一体で何かに取り組む妨げになったのかもしれませんね。

 一方のパ・リーグはマイナー視されていたし、その見方は今でも残っていると思います。少し前に、里崎(智也)さんがどこかのメディアで発言していましたが、自身のYouTubeチャンネルでセ・リーグを取り上げた時と、パ・リーグを取り上げた時では、パ・リーグのほうが再生回数は少ないそうです。球団がある地域ではファンが多くても、全国的にはまだまだセ・リーグのほうがファンの数は多い。コアファンだけでなく、全国にファンを増やすために、パ・リーグはいろいろなことに取り組んできましたし、今後もその姿勢は変わらないでしょう」

――セ・リーグの試合がなかった月曜日に試合を行なう「マンデーパ・リーグ」などもそうですね。

「そうですね。他にも、「予告先発」(※)や、水島(新司)さんの野球漫画を使わせてもらって『パ・リーグマガジン』という冊子を作って球場で配ったりもしました。かつてはファンクラブに入っている人は、ビジターでも割引があったり子供は無料入場ができたりしましたね。とにかくお客さんが入らないから、パ・リーグ全体で協力したあらゆることをやりました。そういう"一心同体"なところはセ・リーグよりあるかもしれません。

 若い選手の情報発信も、パ・リーグのほうが積極的だったように思います。ファンは、アイドルファンで言うところの"推し"というんですかね。そんな選手を入団当初から追いかけている方も多い。そういう情報の発信は少なかったように思いますが、ファンの気持ちに寄り添ってどんどん出していくようになった。"推し"の選手が成長して、レギュラーになって......。そうした将来のことまで考えて発信をしていたのは、パ・リーグが先だったように思います」

※1985年からパ・リーグが毎週日曜日の公式戦を対象に実施。1994年以降はパ・リーグの公式戦全てが対象になり、セ・リーグでは2012年以降に全公式戦で採用。

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