「パ・リーグだから」の理由で客は来ず。そこから始まった集客大作戦

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

特集『セ・パの実力格差を多角的に考える』
第15回 球場の拡大と、人気上昇で変わったパ・リーグ野球
@横山健一 インタビュー(前編)

 2020年の日本シリーズで、パ・リーグ覇者の福岡ソフトバンクホークスが、セ・リーグ覇者の読売ジャイアンツを圧倒。前年の同カード同様、4勝0敗で日本一に輝いた。

 それ以降、プロ野球OB・解説者らによるリーグ間の格差が議論されて久しいが、グラウンドの外からパ・リーグの野球を見ていた者の視点はどうなのか。ロッテオリオンズの元内野応援団員で、ロッテ本社での営業職を経て球団職員として2015年まで22年間勤務した横山健一氏に、広くなっていったパ・リーグの球場、応援によるリーグのイメージアップがもたらした、野球の変化について聞いた。

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2019年ロッテのドラ1・佐々木朗希。人気の上昇もあって入団拒否する選手は減っていった2019年ロッテのドラ1・佐々木朗希。人気の上昇もあって入団拒否する選手は減っていった――横山さんが応援団員をしていた頃から球場も随分と変わりました。それに伴う野球の変化をどう見ていましたか?

「パ・リーグでは、1992年にロッテが千葉マリンスタジアム(現在はZOZOマリンスタジアム)に本拠地を移してからですね。マリンスタジアムは両翼が99.5mで、それまでの川崎球場(両翼89m)に比べると特に左中間・右中間がとんでもなく広くなった。翌年には福岡ドームがオープンし、そのあとも(2004年に東京ドームから本拠地を移転した)日本ハムの札幌ドームなど、一時は球場がどんどん広くなっていきました。

 同じ飛距離ではホームランにならなくなったものもあり、守備も含めて、必然的にスピードとパワーが求められるようになりました。そうしないと、選手たちはチーム内の競争で勝てなくなったわけです。同時期にセ・リーグも球場が広くなっていきましたが、それに伴って野球が変わっていった気がします」

――ホームランも減りましたか?

「言い方は悪いかもしれませんが、"変なホームラン"は出なくなりました。ロッテの本拠地が川崎球場だった頃には、打球が高く上がると、そのままスタンドに届いてしまうこともありましたから。ホームランの価値も変わったように思います」

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