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イチローの出現がセ・パの格差を生んだ...。
レジェンド3人が語る証言 (4ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • photo by Sankei Visual

 当時の黒木投手に対して、イチローも「真っ向勝負してきてくれた投手」と絶賛していた。そんなライバルの言葉を、黒木氏はどう受け取ったのか。

「そう彼は言いますけど、僕がやってたことは姑息なんですよ。だいたいタイミングをずらずのもそうだし、ランナーに出たら出たで、いかにスタートを切らせないか、というところで、長く持つのか、早く投げるのか、その都度、変えて。そこまでしないと抑えられない、チームが勝てないな、と思っていましたし、そこまで特別に意識した選手は彼だけでした」

セ・パ投手の「差」はどうして生まれたのか>>

 ロッテのエースとして、チームの勝利のため、あらゆる手段を使ってイチローを抑えにいっていた。そこまで特別にマークし、常に真っ向勝負するスーパースターがいたことで、自身のレベルアップにつながる部分もあっただろう。

「お互いの誇りをかけて戦って、切磋琢磨していきながら、個々の力を上げていく、ということは確実にあったと思います。そうすると、チーム全体の能力も、組織力も上がっていくわけですが、いま思うと、世界一のバッターがパ・リーグにいたわけですよね。年間200本打つバッターなんていなかったわけですから。

 そのバッターをどう抑えようかって、僕だけじゃない、みんなが必死になった。でも、それでも打たれてしまう。どうしようかと、また必死になるわけですよね。その熱量が、イチローが出てきてからの7年間、パ・リーグにあったと思うんです」

<パ・リーグの野球は、イチローの出現によってレベルが上がった>。この大胆な仮説に対する黒木氏の見解が得られた。続いて、鹿取氏に聞く。

「相手5球団のバッテリーが何とかしようと考えたんだから......レベルは上がるよ。自分たちも彼を抑えることによって、自信を持って次のバッターを攻めることができたらかね。たぶん、どの球団もイチローを研究したと思うんだけど、その研究によって、ほかのバッターの攻略法が見えたところもあっただろうし」

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