2021.02.04

五十嵐亮太が語るソフトバンクのすごさ。年俸が相手に与えるダメージとは?

  • 島村誠也 取材・文●text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

特集『セ・パの実力格差を多角的に考える』
第3回 OBが語るパの強さの象徴・ソフトバンク
@五十嵐亮太インタビュー(後編)

五十嵐亮太氏は昨年、日米23年にわたったプロ野球人生に別れを告げた。通算906試合、日本のみでは歴代7位となる823試合に登板。ヤクルトに14年、パ・リーグではソフトバンクに6年在籍し、"豪腕投手"としてリリーフの役割をまっとうした。

そんな五十嵐氏に、「セ・パ実力格差」についてインタビューを実施。後編では、リーグ間格差の象徴的存在といえるソフトバンクの強さの理由について語ってもらった。

ソフトバンク、ヤクルト、MLBでも活躍した五十嵐亮太氏ソフトバンク、ヤクルト、MLBでも活躍した五十嵐亮太氏

MLBで体感したプラス発想の育成法

 ソフトバンクがセ・リーグの球団を相手にしたときの数字にはすごいものがある。

 交流戦の通算成績は214勝126敗14分 勝率 .629。もちろん12球団断トツの1位で、2011年は18勝4敗2分の歴代最高勝率 .818を樹立。交流戦1位になること15シーズンで8回。他を寄せつけないとはこのことだ。

 日本シリーズでも近年は、2014年から昨年までに6度の出場ですべて日本一。その間24勝5敗(1分)と、圧倒的な強さを誇っている。ちなみに2018年、2019年はリーグ2位からクライマックスシリーズを勝ち抜いての進出。パ・リーグの実力の高さもうかがえる。

 五十嵐氏が、ソフトバンクのユニフォームに袖を通すのは2013年のことで、同シーズンはリーグ4位に終わるも、翌年は日本シリーズに進出。日本一を決めた試合の勝利投手となった。最終的に6年の在籍で4度の日本一に貢献することになるのだが、その前に2010年からのアメリカでの3シーズンについて振り返ってもらった。MLBではメッツなど3球団で83試合に登板し、5勝2敗4ホールドを記録。マイナーリーグの野球も経験した。

「日本で一緒にプレーした外国人選手たちが、口々に『日本人はみんな同じような投げ方をする』と言っていたんですが、僕はその言葉がいまひとつ理解できなかった。でも、メジャーに行って実際に見てみると、確かに投球フォームもボールも特徴的な選手が多い。なるほど、日本にはアメリカほどの個性はないなと気づかされました」

 その中で五十嵐氏は、日米間の「選手の育成方法」に対するアプローチの違いを感じたという。

「アメリカは発想からすごくポジティブでしたね。まず良いところを褒める。その上で、その良さをさらに伸ばすために、補うべきポイントを指摘してくれるといった感じで、すべてプラス発想なんですよね。日本の場合は悪いポイントを指摘して、そこを直していきましょうというところからスタートしがち。その考え方では精神的にしんどくなってしまう選手もいる。もちろん、それをバネにして伸びる選手がいるので、どっちがいいとは言い切れませんが。

 こればっかりは、教える側が選手の性格やチーム状況をどれだけ見ているか、という点に尽きると思います。僕の考えでは、特に一軍の選手に対するアドバイスは、9割褒めるでいいかなと。(スポーツ紙など)他で散々叩かれるので(笑)」

 選手のストロングポイントをさらなる高みへ導くMLBの指導法。近年、個性的で力のある選手を次々に輩出するソフトバンクにも、同様のアプローチがうかがえる。