五十嵐亮太が語るソフトバンクのすごさ。年俸が相手に与えるダメージとは? (3ページ目)

  • 島村誠也 取材・文●text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

常勝チームを支える先人たちのDNA

 今や「勝ってあたり前」のイメージのあるソフトバンクだが、五十嵐氏は「それは、一歩ずつ、少しずつ前進したからこその結果ですよね。何事もいっきに良くなることはないわけですから」と語る。

「僕がソフトバンクに入ったころは、連敗もたくさんありましたし、まだ発展途上のチームだった気がします。ただ、チームが波に乗れていないときは、選手同士でよくミーティングを開いていましたね。そこでは激しく議論することもありました。何かあったときにはすぐに、『それはよくない。直していこう』と声をかける選手が多かったかな」

 そうして口にしたのが、歴代OBの小久保裕紀氏や松中信彦氏の名前だ。

「小久保さんは常にチームのことを考えていて、チームが間違った方向に進んでいるときは、しっかり言葉で伝えていました。気づいたことを他の選手たちに伝えるって、すごくストレスがかかることだと思うんです。キャンプで連帯歩調する際も、大ベテランにも関わらず、率先して声を出していましたからね。松中さんの練習量も尋常じゃなかった。

 やっぱり、ああいった姿は選手の意識に残るんですよね。歴代OBの方たちが築いたホークスのチームカラーが、正しく継承されている結果が今なのかなと。常に新しい選手が入って、その選手が育ち、また下の選手に伝えていく。今だって、マッチ(松田)のようなベテランが率先して声を出してますからね」

――プロ野球は春季キャンプに突入。やがて開幕を迎える。五十嵐氏は引退後はじめての1月を「トレーニングをやらないことの違和感はありますね」と話し、こう続けた。

「仮に僕がまだ現役だったとすれば、今年は調整が難しいなと感じています。昨年はシーズンが終わるのが例年に比べて遅かったですからね。オフが短く、比較的早い段階から調整をスタートしているので、選手たちは体の疲れもそうですが、気持ち的な部分でもある種の戸惑いはあるんじゃないかな。

 悲観的になってしまうのもわかりますが、選手たちには自分の力を発揮するためにはどうすればいいのか、という点にフォーカスして調整してほしいですね。いち野球ファンとして、選手たちが全力でプレーする姿を楽しみにしています」

 セ・リーグ各球団は、交流戦でパ・リーグ攻略の糸口を見つけることができるのか。パ・リーグでは、ソフトバンクが5連覇に向けて日本シリーズに駒を進めるのか。今シーズンの大きなみどころである。

Profile
五十嵐亮太
いがらし・りょうた 79年5月28日生まれ 北海道出身
日米通算906試合、日本のみでは歴代7位となる823試合に登板。
ヤクルトに14年、ソフトバンクに6年在籍。

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