「1mのバットが50cmに見えた」。八重樫幸雄が大杉勝男に感じた一流打者の証 (4ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

【試合後、自宅まで送ってくれた】

――大杉さんは、6歳下の八重樫さんに対してどんな接し方をしてきたんですか?

八重樫 それまでオープン戦でしか接点がなかったので、僕の中では「怖い人」というイメージがあったんですよ。実際にいろいろな人から「大杉さんは怒ると怖いぞ」って聞いていたし(笑)。でも、初対面の時には本当に紳士的な態度だったし、年下の僕にもきちんと頭を下げてくれた。とても穏やかで神経の細やかな人だったんで、すごく驚いたんだよね。それが大杉さんの第一印象かな?

――その後も、大杉さんの態度は変わらなかったんですか?

八重樫 ずっと普通に接してくれましたよ。最初に会った時は「よろしくな」とあいさつしてくれて、それ以降も、いつも親身になっていろんな話を聞いてくれました。最初に言ったけど、お互いの自宅が近かったこともあって、大杉さん自ら「乗ってけよ。送ってやるから」と気さくに話しかけてくれたよ。

――最初に「怖い人だ」というイメージを抱いていたから、そんな言葉をかけられたら「ギャップ萌え」しますね(笑)。

八重樫 最初のキャンプでも大杉さんは優しかったです。大杉さんはインサイド打ちが本当に上手だったんだけど、自ら手本を見せてくれて、何度もアドバイスをもらいました。右ひじをヘソの前に入れるようなスイングを教わったね。

――大杉さんとのエピソード、次から次へと出てきますね。しばらくの間、「大杉さん話」を続けましょうか?

八重樫 いいですね。まだまだ話したいことはたくさんあるから。帰宅後の車の中で、どんな話をしたのかとか、帰宅途中にお巡りさんにお世話になった話とかを、次回以降にご披露しましょうか!

(第49回に続く)

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