2021.01.12

山本昌が認定する現代の魔球6選
「変化球がエグい!」投手は?

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Koike Yoshihiro,Kyodo News

「魔球」という言葉には、人の心をつかんで離さない魅力がある。現代野球では「ピッチトンネル」という言葉が流行し、変化量の大きなボールは「打者に見極められやすい」と敬遠される傾向にある。そんな風潮があっても、プロ球界には人間業とは思えないほど大きく曲がる変化球を投げる投手が存在する。32年間の現役生活でスクリューボールを武器に219勝を挙げた"球界のレジェンド"山本昌氏(元中日)に、現代プロ野球の「魔球」の使い手5投手を選んでもらった。

昨シーズン、最多勝、最優秀防御率、最多奪三振のタイトルを獲得した千賀滉大■千賀滉大(ソフトバンク)のフォーク

 まずは千賀投手の「お化けフォーク」を挙げないわけにはいかないでしょう。

 彼のフォークの特徴は、揺れて落ちること。無回転に近いので空気抵抗を受けて落下するのです。フォームを見てもボールをリリースする右手が上から出てくるので、自然と落ちやすい投げ方になっています。

 何よりもすばらしいのは、これだけ変化量が大きくコントロールが難しい球なのに、ストライクゾーンとボールゾーンに投げ分けていること。低めに投げれば大きく落ち、高めに投げれば落差が小さくなる。フォークの性質を理解して投げているのでしょう。このコントロールはすばらしいです。

 千賀投手はストレートの平均球速が153キロだそうですが、ここへお化けフォークが加わるのですから、打たれないのもうなずけます。さらに近年はカットボールも有効に使って、バッターに的を絞らせないようにしています。

 世界中を探しても、これほどのフォークの使い手はそういません。私のなかで歴代最高のフォークの使い手は大魔神・佐々木主浩くん(元横浜ほか)だと思っているのですが、千賀投手のフォークは佐々木くんに匹敵します。