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「巨人に指名されても育たない」
からの脱却。ドラフト19人指名の本気度

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Kyodo News

 今年のドラフトは長かった。支配下選手のドラフトがスタートして、育成ドラフトの最後のひとりが終わるまで、およそ3時間20分。

 長かった最大の理由は、巨人の育成ドラフトが延々と続いたせいだろう。今年の巨人は、育成ドラフト史上最多となる12人の選手を指名した。大量指名がいいとか悪いとか、指名された選手のレベルがどうこうとかではなく「巨人って変わったなぁ......」というのが率直な感想だ。

巨人から1位指名を受けた亜細亜大の平内龍太巨人から1位指名を受けた亜細亜大の平内龍太 巨人とドラフト──振り返れば、1978年に巨人入りを熱望していた江川卓を野球協約の盲点を突いた「空白の1日」を利用して契約。しかし、それが認められないとわかると、巨人はドラフトをボイコットした。

 ドラフトには参加しなかったが、巨人は"ドラフト外"で10選手を獲得して、そのなかにはのちの巨人の守護神となる鹿取義隆(明治大)が入っていて、あらためて「ドラフトって奥が深いなぁ」と思い知らされた。

 そうはいっても、その当時の巨人は"ドラフト"をあまり当てにしていない雰囲気があった。実際、チームづくりの根幹は、トレード、外国人選手......それに1993年以降はFAも加わり、ドラフトはあくまでも二次的手段というような時代が長く続いていた。

 それがいつ頃からだろう......チームの方針が少しずつ変わり始めてきた。「育成の星」と呼ばれた山口鉄也、松本哲也が一軍の主力となり、近年では育成出身の山下航汰、増田大輝を一軍で登用し、ドラフト下位入団の左腕・中川皓太を勝ちゲームのリリーフとして起用するなど、選手の育成に力を入れるようになった。

 今年も「育成の巨人」を象徴するようなシーズンとなった。2018年のドラフト6位・戸郷翔征が9勝を挙げ、2016年のドラフト6位・大江竜聖はサイドハンドにモデルチェンジしてリリーフ陣の一角を担った。野手でも2016年の育成ドラフト5位の松原聖弥がシーズン終盤はレギュラーに定着した。

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