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ヤクルト1位木澤尚文が155キロを投げる理由。
SNSとテクノロジーを駆使して成長 (2ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Kyodo News

 ひたすら練習量を求めた高校時代の反省から、大学では逆算と計画性を持って取り組むよう、努力の仕方を変えた。

 入学してから9月まで右ひじのリハビリを行ないながら、自身の課題と向き合った。

 身体の線が細く、まずは投手として土台になる身体をつくらないといけない。ウエイトトレーニングで鍛える一方、股関節や胸郭の周りを柔らかくして可動域を増やした。さらに身体の連動性を高めるトレーニングを重ね、自分にとって合理的な投球フォームを模索した。

「効率的な身体の使い方をしたいのがすべてでした。それができれば、制球面や故障しないフォームにつながってくると思います。ロスのない力の伝え方をすれば、出力も上がると思いますしね」

 そうした積み重ねで最速155km/hを計測するまでになったが、速い球を投げようと思って取り組んできたわけではないと言い切る。

「可動域を広げて、再現性の高いフォームをつくって、あとから筋量をつければ、結果的にスピードが上がるんだろうなと思ってやってきました」

 故障しにくい身体づくりと、投球パフォーマンスの向上は一直線上にある。木澤が3年時に就任した竹内大助助監督や、前述のオンラインサロンなどで情報収集すると、選手それぞれでアプローチの仕方は異なれど、レベルアップのために目指す方向性は同じだとわかった。

 大学4年になって突き詰めたのが、「運動連鎖」だ。コロナ禍で春のリーグ戦が延期になって生まれた空白期間で、効率的な投球メカニクスを追い求めた。

「足首が回って、骨盤が回って、胸椎が回って、最後に腕が出てきて指先まで力が伝わるというのが運動連鎖です。僕の場合はどうしても下半身の重心が深く沈み込んでしまって、お尻の力が抜けてしまうので、連鎖がうまくいかない状態になっていました。それで球を引っかけたり、抜けたりという幅が大きかったので、中臀筋を意識して運動連鎖を身につけるようなフォームづくりをしていました」

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