ロッテ1位・鈴木昭汰、プロ断念から4年。
挫折を経て身につけたスキル (3ページ目)
ストレートの最速は150キロを超え、アベレージでも140キロ台後半を叩き出せるようになった。さらにチェンジアップに磨きをかけて投球の幅を広げると、4年春の鴨川キャンプではこれまでにないくらい自分を追い込み、青木久典監督の評価も上がっていった。
「一番やらなきゃいけない時期だと思ったので、24時間を野球に捧げるくらいの気持ちで取り組みました。それをやったからうまくなったというのではないですけど、『やり残したことはない』と思えるくらい、しっかり練習を積むことが自信につながると考えました。どこかでまた壁にぶち当たった時は、『これだけやったんだから大丈夫』と自信を持って言えるように」
春のリーグ戦に向け、順調に調整を続けてきた矢先、新型コロナウイルスの猛威が世間を襲った。鈴木も例外なく自粛生活を余儀なくされ、実家のある茨城に戻り、じっと耐え忍ぶ日々を送った。
「(キャンプ中は)リーグ戦は普通に行なわれるものだと思って、しっかり練習してきました。でも、このような状況になって『野球ができるのは当たり前じゃない』と強く感じるようになりました。茨城に戻って、練習する場所もなかなか見つからないなか、常総学院の協力もあってグラウンドを使わせてもらって、あらためて野球ができるありがたみを感じました。『リーグ戦は必ずどこかでやる。その時までモチベーションだけはしっかり保っていこう』と考えていました」
自粛明けの7月24日、日本通運とのオープン戦。鈴木は6回を投げて4安打2失点と好投し、「これなら(リーグ戦でも)計算がつく」と自信を深めた。
すると、約4カ月遅れで行なわれた春季リーグ戦では4試合(11回2/3)に投げて防御率1.54と優勝に貢献。秋のリーグ戦ではおもにカードの頭(1回戦)の先発を任されるなど、事実上エースの座に上り詰めた。
10月25日までの第6週が終了した時点で、鈴木は6試合に投げて1勝2敗。それでも防御率0.84は早稲田大の早川隆久(ドラフトで楽天が交渉権)に次ぐ2位の成績である。
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