2020.10.29

高木豊の言葉に八重樫幸雄がブチ切れ。
「野球、知ってるんすか?」

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi

「オープン球話」連載第38回

【現役時代に唯一ブチ切れた、高木豊との思い出】

――さて、前回、前々回と、屋鋪要さん、高木豊さん、そして若くして亡くなった加藤博一さんの「スーパーカートリオ」について伺ってきました。前回の最後に「現役時代、試合中にブチ切れたのは豊に対してだけ」と話していました。ぜひ今回は、そのあたりを詳しく聞かせてください。

八重樫 もともと、豊のことは「いいセンスの選手だな」と思っていたんですよ。どんな球でも逆らわずに広角に打ち分けていてね。唯一のウィークポイントは早打ちだったことかな? 積極的にバットを振ってくるタイプのバッターだったから、初球に真ん中の甘いコースから落ちるフォークボールを投げると、引っかけてセカンドゴロに抑えることもできたけど、とにかくバットコントロールがいい選手だったよね。

 でも、あれは古葉(竹識)さんが監督時代のことだったけど、本当に頭にきたことがあってね......。

八重樫はなぜ高木に「ブチ切れた」のか photo by Kyodo News――古葉さんが大洋ホエールズの監督を務めていたのは1987(昭和62)年から1989(平成元)年の3年間のことでした。この期間に何があったんですか?

八重樫 正確な日付は覚えていないけど、大洋とのある試合で、ノーアウトかワンアウト満塁のピンチになったんです。それで、バッターがサードゴロを打ったんだよね。サードは角(富士夫)が前進守備をしていて、当然、ホームゲッツーを狙ってホームに投げてきた。でも、それがちょっと一塁方向に逸れちゃったんですよ。

――ホームゲッツーを狙うということは、ホームで三塁走者を封殺して、そのまま一塁に転送して打者走者をアウトにしようという思惑ですね。

八重樫 そう。でも送球が逸れて、僕の体勢が崩れてしまったので「一塁はアウトにできない」と判断した。フォースプレーだから、ランナーにタッチしなくてもホームを踏めばいいんだけど、捕球する時に僕の足がホームベースから離れてしまったんです。