スイッチヒッターで「令和の星」は?意外な選手も両打ちで登録している (3ページ目)

  • 白鳥純一●取材・文 text by Shiratori Junichi
  • photo by Kyodo News

 小学校6年から両打ちという三嶋は、法政大学時代に両打席で長打を放つなどバットでの活躍も目立った。過去には、右打席に専念したシーズンもあったが、体を左右バランスよく使いたいという意向もあり、現在はスイッチヒッターとして登録されている。近年はリリーフを任されることが多く、この2年間打席に立っていないが、貴重な打席での勇姿にも注目したい。

 選手がスイッチヒッターに転向する理由としては、「右打者が俊足を生かすために、より1塁に近い左打席にも立ちたい」「投手の利き腕に関係なく有利に勝負したい」といったケースが一般的だ。だが、プロの世界で両打席の練習をこなすことは身体的な負担も大きく、近年は減少傾向にある。

 実際に、高校まではスイッチヒッターとして活躍していた筒香嘉智(レイズ)や福田秀平(ロッテ)は、プロ入り後に右打席を封印。左打者としてキャリアを積み重ねた。

 プロ入り12年目の2017年に、打撃成績の向上を目的にスイッチヒッターに取り組んだ大和は、狙い通りにキャリアハイの(打率.280)成績を収めた。それでも翌年の横浜DeNAへのFA移籍を契機に、右打者に「再転向」。現在は右打者として出場を続けている。

 過去には大和以外にも、菊池涼介(広島)、石川雄洋(DeNA)、江越大賀(阪神)などが、打撃力の向上や走力を生かすためにスイッチヒッターに挑戦したが、いずれも短期間で終了。理由としては、一軍の投手を打てるレベルに到達しなかった、などさまざまな声が聞かれる。

 日本球界ではアマチュア時代からスイッチヒッターとしてプレーする選手が少なく、プロ入り後に挑戦する選手が多い。近年は地方でも人工芝の球場が増え、球足が速くイレギュラーな打球の変化が少なくなり、左打席でも内野安打になりにくいといったことが減少傾向に拍車をかけているのかもしれない。

 記憶に新しいところでは松井稼頭央、西岡剛、フェルナンド・セギノール。さらに遡るとオレステス・デストラーデ、松永浩美、正田耕三、高橋慶彦などが、スイッチヒッターとして輝かしい成績を残した。挑戦にはさまざまな困難や苦労が伴うが、その優位性を活かして活躍する新たな名バッターの登場を期待したい。

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