2020.10.24

スイッチヒッターで「令和の星」は? 
意外な選手も両打ちで登録している

  • 白鳥純一●取材・文 text by Shiratori Junichi
  • photo by Kyodo News

 9月5日に行なわれた楽天vsオリックス戦(楽天生命パーク)で、楽天の2番打者として先発出場したスイッチヒッターの田中和基は、"封印"していた右打席で2本塁打を放った。

希少なスイッチヒッターとして活躍する楽天の田中 田中は2年目の2018年シーズンに、105試合に出場して打率.265、18本塁打、21盗塁の成績を残し、新人王を獲得。だが、昨シーズンは開幕から不振に苦しむことになる。5月には左手の三角骨の骨折により戦線離脱を余儀なくされ、7月に一軍に再昇格したものの、不調のままシーズンを終えた(59試合に出場し、打率.188、1本塁打)

 昨年は、「右打席は負荷がかかる」という理由からスイッチヒッターを一時封印し、左打者としてシーズンを過ごした。それだけに9月5日に田中が放った2本の本塁打は、「スイッチヒッター復活」を大きく印象づけた。

 元来は右利きの田中が、俊足を生かすために左打ちへの挑戦を始めたのは小学生の時。その後、西南学院高校では甲子園出場は叶わなかったものの、珍しいスイッチヒッターの捕手として、対外試合で通算18本塁打を放った。

 立教大学に進学して外野手に転向した田中は、大学日本代表に選出された活躍などが認められ、ドラフト3位で楽天に入団した。

「プロのスカウトに注目してもらいたい」という思いもあって、スイッチヒッターに取り組み続けたという田中。晴れてプロ入りを果たしたものの、レベルの違いに苦しんだという1年目には、どちらかの打席に専念することも考えたようだ。

 それでも田中が左右両打席に立ち続けてきたのは、スイッチヒッターとして史上初のトリプルスリーを達成した松井稼頭央(現・埼玉西武ライオンズ2軍監督)と共に自主トレに励み、間近に練習に取り組む姿を見た経験が大きかったという。「尊敬している選手」と公言する松井と同じように、俊足で長打力を併せ持っているだけに、今後のさらなる活躍が期待される。