2020.10.25

巨人の若手抜擢が成功する理由。
阿部慎之助と二軍の環境をOBが語る

  • 佐々木亨●取材・文 text by Sasaki Toru
  • photo by Sankei Visual

 昨シーズン限りで19年間の現役生活を終え、今シーズンから指導者の道を歩んでいる巨人の阿部慎之助二軍監督。1年間だけではあるが現役時代をともにすごし、ヘッドコーチ、打撃コーチ、バッテリーコーチ(2002年~03年、06年~18年)を務める中で、指導者と選手という立場でも同じユニフォームを着てきた村田真一氏の目に、阿部二軍監督はどのように映っているのか伺った。

原辰徳一軍監督との連携で、巨人の強さを支えている阿部慎之助二軍監督――まずは、村田さんの知っている阿部二軍監督はどんな人でしょうか?

村田真一氏(以下、村田) 陽気な人柄で、フランクな男です。現役時代は、後輩らを連れて自主トレを行なうなど、面倒見がよかったです。外国人選手に対しても、チームに溶け込みやすくなるように食事に連れていったりね。そういった一面は彼の本質のひとつだと思います。

 同時に情熱がある人間ですから、二軍監督には最適だと思います。今シーズンの春季キャンプから、その指導に注目していましたが、選手たちにきつい練習もさせていました。成長過程にある二軍の選手たちは、ある意味で本物のプロ野球選手ではない。一軍でプレーして初めてプロ野球選手だと私は思っています。二軍の選手たち、つまりはダイヤモンドの原石たちは磨かなければ輝かない。妥協していては成長しない。そういう意味でも、厳しい練習を取り入れているのは、いいことだなと思って見ていました。

―― 一軍で本当のプロ野球選手としてプレーしていくためには、二軍での準備が大事ということですね。

村田 野球というスポーツは、心技体が重要です。確かな心があり、卓越した技があって、シーズンを通して戦える体力が必要なわけです。プロ野球は、5試合を戦ってよかった、悪かったという世界ではなく、140試合を戦ってどういう結果を残すかという世界。そういう意味では、体力というのは本当に大切になってきます。

 私は「昭和の香り」という言葉自体は好きではありませんが、厳しい目を持った指導は大切だと思っています。その資質を持った慎之助が春季キャンプで頑張ってやっているなと思ったし、そんな指導を続けてほしいと思っています。

――阿部二軍監督は、もともと指導者としての気質を備えていると言えるでしょうか。

村田 気質はあったと思います。私が現役として一緒にプレーした期間は1年間でしたが、コーチ時代も含めて感じていたのは、とにかく"ガッツがあって熱い男"ということ。勝負事は熱くならないと体が動かないわけですよ。現役時代の慎之助はそうやってきた人間だから、その大切さは身を持ってわかっているだろうし、それを伝える術も長い現役生活の中で自然と養われてきたところはあると思います。

 指導者とは、伝え方、言い回しを考えて、いかに選手たちの能力を上げていくかが大切です。野球選手だけではなく一般的にも言えることだと思いますが、人の心に響く言葉というのがありますよね。人それぞれ性格も違うわけですから、同じ言葉でも伝わり方が違う。だから、人を見ながらどう伝えていくか。いかに情熱を持って伝えていくか。その点が大切だと思います。