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なぜ神宮球場で呑むビールはうまいのか。
「売り子」あるあるとゲン担ぎの飲み方 (3ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

今年もビールを片手に神宮花火ナイターを堪能 photo by Hasegawa Shoichi今年もビールを片手に神宮花火ナイターを堪能 photo by Hasegawa Shoichi あるいは「今日は、『1点につき一杯』ご褒美に呑もう」と決めた途端、初回にラミレスだったか、ガイエルだったかがいきなり満塁ホームランを放ち、試合開始早々いきなり4杯の生ビールを呑み干すという間抜けな目に遭ったこともある。同様のゲン担ぎで、ヤクルト打線が爆発して、ひと晩で15杯も呑んだ時には「もうこのゲン担ぎは封印しよう」と心に決め、それ以来一度も決行していない。

 最初に買った売り子さんのビールを呑んでいる時に点が入ると、「今日はこのコから買おう」と心に決め、ひたすらその売り子さんから買い続けることもある。逆に、チャンスでの凡打が続き、なかなか点が入らない時には、「こんどは違う売り子さんから買おう」と、次から次へと、いろいろな売り子さんから何杯もお代わりすることになる。

 勝手に「勝利の女神」に崇められたり、「疫病神」に貶められたり、売り子さんもいい迷惑だと思うけど、思ってしまうものは仕方がない。ゲン担ぎとはそういうものだ。

【「神宮のビール」が美味しい理由】

 かつて、「元売り子さん」と知り合いになり、彼女の友だちも含めて数名に「ビール売りのリアル体験談」を聞いたことがある。各販売基地によって状況は異なるようだけど、彼女たちの報酬は「1試合2000円程度の基本給」に「1杯40~50円の歩合給」が加算されるのだという。

 神宮球場の場合は「1試合につき100杯程度はほとんどのコが売ることができる」そうだが、それ以上になると「いかに常連のお客さんをつかむか」が大事になる。そのために「試合前にはチームの最新情報をチェック」し、「お客さんとの会話はメモ」し、「少しでも顔と話の内容を覚えるべく努力」するのだという。

 自分の体験を基に、「勝手に"勝利の女神"扱いされたり、"疫病神"扱いされたりされている実感はあるの?」と尋ねると、彼女は驚いた表情を浮かべた。

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