巨人はドラフト1位で近畿大・佐藤を
指名するのか。鈴木誠也二世も候補

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Sankei Visual

チーム事情から見るドラフト戦略2020〜巨人編

 9月27日現在、巨人は53勝26敗4分(勝率.671)で、2位の阪神に12.5ゲーム差をつけ、セ・リーグを独走している。

 こういう時はたいていの場合、盤石の"強力投手陣"が存在するものなのだが、今季の巨人投手陣で盤石なのはエースの菅野智之だけで、あとはその時好調な投手が先発して結果を出している。それが、今年の巨人投手陣のホントのところではないか。

 そのなかから、高卒2年目の戸郷翔征が立派にローテーションの一角を占め、同じく2年目の直江大輔も来季につながる投球を続けている。中継ぎに目を移すと、3年目のサイドスロー左腕・大江竜聖が頼れる存在へと急成長した。

 ベテラン、中堅が自分の役割をきっちりとまっとうするなか、若手も育てながらこれだけの成績を収めるのだから、組織として最高に"健全"な状況なのだろう。

 逆に考えれば、今年は何もかもうまくいきすぎて、どこかにほころびが出た時、はたしてしっかりと機能するのだろうかという不安もある。

巨人が1位指名で獲得するのではと言われている近畿大・佐藤輝明巨人が1位指名で獲得するのではと言われている近畿大・佐藤輝明 たとえば絶対エースの菅野が抜けた時、今年のように先発陣をうまくやりくりしながら回すことができるのか。戸郷にしてもまだチームを背負って立つには荷が重すぎる。そんなことを考えると、やはり即戦力投手がほしいところだが、すでに球団幹部が「外野手が足りない。今年は外野手を獲ります」と明言。

 外野手の即戦力となると、まず頭に浮かぶのが近畿大の佐藤輝明だ。飛ばす能力はすでにプロの一軍レベルにあるが、それ以上に佐藤の魅力というのは本人にしかわからない独特の感性を持っていることではないかと思う。

 柳田悠岐(ソフトバンク)や糸井嘉男(阪神)ほどじゃないにしても、打席での雰囲気や普通は手を出さない初球のカーブをあっさりジャストミートして長打にしてしまう"芸当"は、並の選手ではない魅力が詰まっている。

 また、外野手じゃもったいないほどのフィールディング能力と俊足も兼備。素材としては申し分ないだろう。

 しかし、これだけの逸材である。ほかの球団が放っておくはずがない。スラッガー獲得を目指す阪神、オリックスも虎視淡々と狙っているかもしれない。

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