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巨人・高梨雄平「えっ!」と驚く
ドラフト秘話。楽天が評価した理由 (3ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Kyodo News

日本ハム大田泰示が明かす巨人との決定的な違い>>

 左のサイドハンドとしても、ある程度、見通しは感じたという。

「キャッチャーのうしろから見ると、テイクバックがすごく小さくて、いったん腕が体に完全に隠れるんです。『こりゃ、右打者でも打ちにくいぞ』と思いましたね」

"数字"だけなら、たしかに足切りされるタイプだ。

「見づらいというのは、ものすごい武器なんです。スピードは物足りないですが、それを補うだけの武器が高梨にはありました」

 昨年までの3年間で164試合に登板し、44ホールドを挙げて防御率1.90。プロ2年目の2018年には70試合に登板するなど、チームにとって欠かせない戦力となった。

「後関さんには完全にやられました......」

 球速130キロちょっとだった高梨を推せなかったスカウトが悔しがる。そしてこんな"お節介アドバイス"をくれた。

「高梨の場合は、ブンブン振ってくるパ・リーグの野球も追い風になったような気がします。セ・リーグも以前に比べたらガンガンいくようになりましたけど、基本はボールを見極める野球です。高梨独特のホームベースをかすめるようなボールを見極められ、カウントが苦しくなったときにどれだけ粘れるか......。プロって、球数の多いピッチャーは嫌われるんです。だから、少ない球数でどうバッターを料理できるかでしょうね。

 それに球筋が見にくいってことは、審判も見づらいわけで、高梨がいちばんストライクをとってほしいはずの際どいコースを『ボール』と判定されることも考えられる。乗り越えなきゃいけないことは、いくつもあると思うんですよ。でも、プロでたしかな実績を残しているわけですし、そこは自信を持って挑んでほしいですね。セ・リーグにはなかなかいないタイプの投手ですから、楽しみのほうが大きいです」

 変幻自在のサイドハンド左腕・高梨が初めてのセ・リーグでどんな活躍を見せてくれるのか。社会人時代の「絶対プロの世界で投げるんだ」というあの決意があれば、きっと大丈夫だ。

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