2020.05.09

田中将大が叫んだ「伝説の8球」。
楽天を初優勝に導く最高のアウトロー

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Kyodo News

日本プロ野球名シーン
「忘れられないあの投球」
第7回 楽天・田中将大
優勝決定試合でのリリーフ登板(2013年)

 東日本大震災から2年後の2013年、「がんばろう東北」のメッセージとともに戦う楽天は球団創設9年目で初のリーグ制覇を果たし、日本一まで駆け上がった。

 最大の原動力となったのが、当時24歳、高卒7年目の田中将大(現・ヤンキース)だった。この年、”神の子”はまさに伝説となった。28試合で212イニングに登板し、24勝0敗1セーブ、防御率1.27。開幕から無傷で連勝街道を歩み、月間MVPを5月度から5カ月連続受賞するなど、圧倒的な記録と記憶を残している。

 ペナントレースで投じたのは計2981球。なかでも圧巻だったのが、初優勝を決めた西武戦だ。

最後の打者・浅村栄斗を三振に打ち取り、雄叫びを上げる田中将大(写真左) マジック2で迎えた9月26日、敵地で西武を4対3とリードした9回裏、田中は4年ぶりにリリーフのマウンドに上がった。内野安打などで一死二、三塁のピンチを招いたなか、3番・栗山巧、4番・浅村栄斗(現・楽天)に対し速球を8球続けて二者連続三振に斬って取ると、雄叫びをあげながら天に両腕を突き上げた。

「すごくいい場面だったし、チームも西武ドーム(現・メットライフドーム)でサヨナラ負けが4試合続いていました。今日も1点差。ピンチをつくったけど、『これを乗り越えて優勝しろ』と言われていると自分を盛り上げました」

 対して”最後の打者”となった浅村は、翌年の春季キャンプ時にこう振り返っている。

「今までで一番気合いが入った打席というか。自分のなかでは一番楽しかった打席でした」