2020.05.10

高橋礼が阿部慎之助に投じたインハイ。
135キロ直球にアンダーハンドの真髄を見た

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Kyodo News

日本プロ野球名シーン
「忘れられないあの投球」
第8回 ソフトバンク・高橋礼
日本シリーズ第2戦(2019年)

 私が「アンダーハンド」投手に思い入れが強いのは、高校3年間ずっとバッテリーを組んでいたのがアンダーハンドの投手だったからだ。

 アンダーハンドは「サブマリン」とも称される。つまり潜水艦のように低く潜り、そこから浮上しながら投げるためだ。投げる位置が低ければ低いほど希少であり、そこがアンダーハンドの”値打ち”になってくる。

日本シリーズ初登板ながら巨人打線を7回1安打無失点に抑えた高橋礼 これまで通算284勝の山田久志(元阪急)をはじめ、人数こそ多くないが優秀なアンダーハンド投手がいた。平成以降は、渡辺俊介(元ロッテなど)や牧田和久(楽天)が国際大会で結果を残すなど、存在感を示した。

 そして彼らの系譜に連なる”本物のアンダーハンド”がプロ野球界に現れた。ソフトバンクの高橋礼だ。

 身長188センチ、体重85キロ。ただでさえボディーバランスを保つのが難しいアンダーハンドで、これだけのサイズを有するのはそれだけで並大抵のことではない。長いプロ野球の歴史を振り返っても、これほど大きなアンダーハンド投手は記憶にない。

 1年目こそ12試合に登板して0勝1敗だった高橋だが、2年目の昨年はローテーション投手として23試合に先発。12勝6敗、防御率3.34の成績を残し、パ・リーグの新人王に輝いた。