ホークスの160キロ左腕がブレイクか。工藤監督の金言で制球難を克服 (4ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • photo by Koike Yoshihiro

 2月23日、オリックスとのオープン戦に3イニングの予定で登板したが、2回を6四球、4失点の大乱調。2月29日の阪神戦でも、登板直後の初球で154キロを投げ込むも大きく抜けて吹き上がり、捕手のミットにかすることなくバックネット下のフェンスにノーバウンドで直撃させてしまった。

 制球難を露呈した古谷は、走者のいない場面でもクイックモーションでの投球に切り替えた。クイックにすれば、体の動きが小さくなりブレが生じにくくなる。つまり、制球しやすくなるというわけだ。だがその反面、ボールの威力は落ちる。

 3月3日のヤクルト戦でも、古谷はクイックモーションで登板した。結果は、2回を無安打、無失点に抑え、四球も1つだけだった。一方で、150キロを超すボールは1球もなかった。

 その登板を終えた時、声をかけてきたのが工藤監督だった。

「『秋に話したことを覚えているか?』と言われました。秋のキャンプでは、右足を上げた時に一塁方向に視線をやって、それから捕手のほうに向き直して投げるやり方を教わったんです」

 古谷はコントロールを気にするあまり、しっかり捕手のミットを見て投げようとしていた。だが、その動作によって頭が突っ込みすぎてしまい、結果的に左腕が体から離れてしまい、体も開いたままの状態で投げにいくという悪循環に陥っていたのだ。工藤監督の言葉は、それを改善するのにうってつけの策だった。

「オリックス戦の時も(捕手から)目を切っていましたが、自分では意識せずにその動きをしていました。僕としては、無意識にやったほうがいいのかなと思っていました。だけど、監督に言われて意識してやるようにしたら、そのほうが横(を向く)の時間が長くなった」

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