2020.03.12

無観客試合のリアルとは。選手は
聞こえすぎる声、新たな音に戸惑い

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 3月7日に神宮球場で行なわれたヤクルト対ロッテの”無観客試合”を取材した。選手たちは、これまで当たり前のように聞こえていた歓声がないことに寂しさを覚え、同時にこれまで気づかなかった新たな音に戸惑っていた。

 オープン戦とはいえ、ヤクルトにとっては今年初となる本拠地での試合。通常なら球場の周りには熱心なファンの姿が多く見られるのだが、誰ひとりいない。売店の準備に追われるスタッフや、そこから漂ってくる食欲をそそる匂いもない。

無観客のなか開幕に向けて調整を続ける選手たち 午前8時35分、一塁側ベンチで「どんな試合になるのだろう……」とぼんやり考えていると、「コツン」とバットが床を打つ音が聞こえてきた。雄平がルーティンとしている”ひとり早出ティーバッティング”のためにやってきた合図だった。

 午後12時35分、シートノックを眺めていると「本日のスターティングラインアップを発表します」という突然のアナウンスと、その音量が異常に大きく感じられることに驚く。選手たちのかけ声もいつも以上によく聞こえ、あらためていつも以上に球場が静かなことに気づかされる。アナウンスが終わると、再び球場は静寂に包まれ、トンボでグラウンドをならす音や、鳥の鳴き声が響く。

 午後1時、試合は静かに始まった。はたして、選手たちは無観客のなかでの試合をどのように受け止め、何を感じたのだろうか。