ヤクルトを戦力外となった元ドラ1左腕は南半球で野球を楽しんでいた (2ページ目)
村中の所属するオークランド・トゥアタラは、昨シーズンからリーグに参入したニュージーランド初のプロ球団だが、慢性的な選手不足に悩まされている。10年ほど前は四球連発で試合にならなかったという野球新興国において、プロのレベルに値する投手を国内だけでそろえるのは至難の業だ。プロチームをリリースされたとはいえ、世界トップレベルの日本でローテーションの柱を務めた実績をもつ村中にはすぐにでも投げてほしかったのだろう。
数試合リリーフ登板をこなし、12月末には初めて先発マウンドに立った。4回途中でマウンドを降り、敗戦投手になってしまったが、メジャーリーグのスカウトも兼ねているチーム首脳陣の評価が下がることはなかった。
そして年明けの初戦、村中はシーズン2度目の先発マウンドに立った。オーストラリア・ウインターリーグのペナントレースは、週後半(木曜日から)の4連戦が基本だ。地区優勝に突き進むチームは、村中のピッチングを見て、連戦の初戦に村中を投げさせるローテーションに組み替えた。つまり、エースとしての役割を求められるようになったのだ。
ニュージーランドの夏の1日は長い。午後7時の試合開始時はまだ陽も高く、ナイター照明の灯りもまだついていない。入念な投球練習のあと、プレーボールがコールされた。
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