ヤクルトを戦力外となった元ドラ1左腕は
南半球で野球を楽しんでいた (4ページ目)
「普通、プレートって数十センチほど埋め込まれているじゃないですか。それが、ここは長い木が1本あるだけですからね。要するに、ふたりが投げる幅いっぱいに棒のような木が埋め込まれているんですよ」
さすがにこれには驚いたという村中だが、逆に「新鮮だ」と笑い飛ばした。
待遇が日本とまったく違うことは覚悟の上だ。その実績から、渡航費は球団が持ってくれたが、給料は関係者の話によるといまだ入っていないということだった。住むところは、地元オークランドの選手以外は、球場近くにある大学の寮があてがわれていたが、提供されるはずの食事もいつのまにかなくなり、試合当日に球場で提供される軽食以外は、外食を余儀なくされている。
じつは、村中にとって海外でのプレーは初めてではない。プロ2年目の2007年、この年一軍のマウンドに立つことがなかった村中は、その才能を開花させるべく、当時ハワイで行なわれていたウインターリーグに参加している。
ニュージーランドのマウンドに初めて立った時、村中は若き日のことが頭に浮かんだという。
「やっぱり、日本とはまったく雰囲気が違いますよね。なんか楽しむことが大事っていうか......。こっちの人たちは遅刻しても誰も気にしない(笑)。日本だと結構しばられるというか、なにかと厳しいじゃないですか。球場なんかも全然違いますし、そういうのも含めて今は楽しんでいます」
つづく
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