プレミア12で確立された稲葉Jカラー。あの負けた試合が転機になった

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • photo by Getty Images

 東京五輪の前哨戦と位置づけていたプレミア12で、侍ジャパンは初制覇を果たした。

 韓国との決勝戦、日本は1回表に先発の山口俊が2本の本塁打を浴びるなど、3点を失った。しかし直後の1回裏、4番・鈴木誠也のタイムリー二塁打で1点を返すと、2回には山田哲人が3ランを放ち逆転。さらに7回裏にも浅村栄斗のタイムリーで1点を追加した日本が、5-3で韓国を振り切った。

プレミア12初制覇を果たした稲葉ジャパンプレミア12初制覇を果たした稲葉ジャパン 試合後、稲葉篤紀監督はプレミア12初制覇の要因に「チーム力」を挙げ、次のように語った。

「沖縄でのカナダとの強化試合で、試合は負けてしまったんですけど、そのなかで選手たちは、ジャパンはこういうやり方でやっていくというのがわかったんじゃないかと思うんです。1点1点を取りにいく大事さを選手たちが理解してくれた」

 奇しくも金子誠ヘッドコーチも、今回のターニングポイントとして挙げたのがこのカナダ戦だった。この試合をあらためて振り返ってみたい。

 1031日に開催された強化試合の初戦、日本は2回に6点を奪われたが、その後、4回に2点、5回、7回、9回にそれぞれ1点ずつを返し、1点差まで詰め寄った。試合は負けてしまったが、金子ヘッドコーチはこの敗戦のなかに大きな可能性を見出した。

「序盤に大量失点してしまうと、普通なら一気に返したくなって、野球が荒っぽくなってしまう。でも、あの試合でコツコツ点を返して、最終的に1点差まで追い上げた。ああいう展開になっても、1点ずつ返していけば終盤にもうひとつ山がくるというのを選手たちはわかったと思うんです。それがその後の試合にもつながったと思います」

 そう語るように、台湾でのオープニングラウンドのベネズエラ戦も、中盤まで劣勢を強いられた日本だが、8回に一挙6点を奪い逆転に成功した。

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