わずか3年で戦力外となった、
元DeNA山本武白志が追うビッグマネー (5ページ目)
プロのクリケット選手になるまでの道のりは、日本人には想像できないほど険しい。競技をよく知ること、選手として戦える体をつくること、そして、もうひとつ大切なのが言葉だ。
「英語はまだまだですが、少しずつ上達していると思います。文法が苦手だったし、使わなきゃいけないシチュエーションもなかった。でも、いまは、外国人コーチに教えてもらうこともあるし、外国人選手と接する機会も多いので。会話が増えている分、自然に話せるようになっていると思います。ベイスターズにも外国人選手はたくさんいましたが、別に会話しなくてもよかった。いまは自分が話したくて話しているんで、全然違いますよね。覚えたい、覚えてやると思っています」
いまの目標は、はっきりしている。
「とにかく、オーストラリアでクリケットのプロになりたい。それしか考えていません」
プロ野球選手としての最高年俸は360万円。クリケットのプロ選手になれば、これまで稼いだことのないビッグマネーを手に入れることができるかもしれない。
「インターネットとかで調べてみたら、プロ選手の平均年俸は5億円くらいと書いてありました。どこまで本当かはわかりませんが、ものすごい金額ですよね。いまは、ビッグマネーをつかみたいと本気で考えています。難しいことは考えてなくて、自分がやりたいからやる。それだけです」
1995年に野茂英雄(元ロサンゼルス・ドジャースなど)がアメリカに渡ってからもうすぐ四半世紀。サッカーでもバスケットボールでも、世界のトップリーグでプレーする日本人選手が出ている。
しかし、クリケットというスポーツで日本人選手が通用するかどうかはまだわからない。山本は「平均年俸5億円」、中には30億円も稼ぐ選手もいるプロリーグにたどりつけるのか。これまで経験したことのない壁にぶつかったとき、プロ野球で味わった挫折や悔しさが支えとなるはずだ。
■元永知宏 著
『レギュラーになれないきみへ』(岩波ジュニア新書)
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