わずか3年で戦力外となった、
元DeNA山本武白志が追うビッグマネー (3ページ目)
クビを通告されたとき、頭に浮かんだのは、10代のころに見たアメリカ西海岸の風景だった。
「何かの仕事をしようと思っても、アルバイトもしたことがありません。ただ、中学生のときの日米野球でロサンゼルスに行ったことがあって、なんとなく、子どものころから海外に行ってみたかったというのはあります。野球をやめてから、その気持ちが強くなりました」
高校までは練習漬けの日々。ベイスターズに入団してからも、ずっと頭の中は野球のことばかり。それのない生活に戸惑いがあった。
「メジャーリーグとか、アメリカの野球ではなくて、普通の生活を経験してみたかった。英語も満足に話せないし、どんな仕事があるかもわからなかったんですが、いろいろ調べているうちに、クリケットという競技に当たりました」
クリケットに関する知識は、プロの選手がいて、高額年俸を稼ぐことくらい。頭の中には海外で暮らすことが先にあり、そのための方策を探しているうちに、知人にクリケットをすすめられたという流れだった。
「知り合いの知り合いに、オーストラリアのメルボルンに住んでいる人がいて、その子どもがしているのがクリケットでした。『野球をしていたんなら、クリケットやってみれば?』という感じで」
食事のときに飛び出したこのひと言で、山本はクリケットに興味を持ち、YouTubeで試合映像を見て「これは、いいかもな」と思ったという。
年明けにトレーニングを再開し、3月にオーストラリアに飛んで、実際にプレーした。自分から日本クリケット協会に連絡を取り、本格的にクリケットに取り組むことを決めた。
「自分でやることをイメージしながら競技を見たら、『これは僕には合っているかもしれない』と思いましたし、実際にやってみてフィーリングが合ったという感じ。オーストラリアから帰国するときに道具を一式買いました。オージー・フットボールとクリケットのシーズンが入れ替わる時期だったので、セール価格で。でも、7万円もしたから、僕にとってはけっこうな出費になりました」
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