森友哉の打棒が止まらない。
野村克也以来、54年ぶりの快挙なるか (2ページ目)
守備と攻撃の関連は本人のみぞ知るところだが、第一捕手から正捕手になったことで、先発マスクの機会が増えた。毎試合のように同じ流れで打席に立ち続けることが、好調を持続している要因だと阿部コーチは見ている。
「試合に出る、出ないの流れが、今年はより一定になっている。そういうのがバッティングにも大きいのかなと思っています」
シーズンの疲労が1日ずつ蓄積されていくなか、7月27日の日本ハム戦から8月15日のオリックス戦まで17試合連続安打を記録。そのうち13試合に捕手、3試合に指名打者で先発出場した。
とりわけ、森のすごみが発揮されたのが、8月13日のオリックス戦だった。初回、一死二塁からレフト線に先制タイムリー二塁打を放った打席だ。
相手先発の田嶋大樹に対し、初球は内角低めの厳しいコースにストレートを決められると、続く2球目、外角のスライダーに反応して三塁方向に鋭いファウルを放った。森はストレート待ちだったが、スライダーが外角やや高めに浮いてきたから打ちにいった。
そして、2ストライクに追い込まれた6球目、外角高めのスライダーにタイミングを外されたが、うまく体重を残し、最後は右手一本でレフト線に技ありのタイムリー二塁打を放った。球種やコースにヤマを張るような状況ではなく、森は「食らいついただけ」と振り返っている。
実はこの場面には、森のふたつの特徴を見て取れる。ひとつ目は、正捕手としての成長だ。
「今日は(齊藤)大将が今シーズン初先発で、いい立ち上がりをしてくれたので、絶対先制点を獲るぞ、という気持ちで打席に入りました」
この日の西武の先発は、2017年ドラフト1位の齊藤。オリックスと競合した田嶋を獲得できず、同じ左腕としてハズレ1位で入団した"因縁"がある。齊藤は過去2年間、一軍であまり活躍できておらず、同い年の森はバットで援護しようとした。
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