2019.06.29

地味でも光り輝く献身力。
いざとなったらヤクルトには荒木貴裕がいる

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

「野球は9人ではできません。僕はいつでも、自分の役割を果たしたいと思ってやっています」

 そう語るのは、プロ10年目のヤクルト・荒木貴裕だ。彼のプレーを見ていると「本当にすばらしいチームプレーヤーだな」と、つくづく感じさせられる。今シーズンは主に代打の切り札として貢献しているが、先発で出場することもあれば、守備でも内野だけでなく外野もこなす。

今シーズンは代打で高い成功率をおさめているヤクルト・荒木貴裕 小川淳司監督は「荒木はベンチの考えをよく理解してくれる選手です」と話し、前監督の真中満氏も同じことを語っていた。苦しい戦いが続くチームにとって、荒木は欠かすことのできない存在となっている。

 今シーズン、荒木が最高のユーティリティぶりを発揮したのが、4月28日からの3試合だった。

 28日の広島戦(神宮球場)では、「6番・ファースト」で先発出場。先制のソロアーチを含む2打数1安打2四球と活躍。翌日の同カードでは、5回裏の二死一、二塁の場面で代打出場し決勝のタイムリーを放った。そして30日のDeNA戦(横浜スタジアム)は、延長10回表、一死二塁で再び代打として出場し、またしても決勝のタイムリー二塁打。3試合連続決勝打を放ち、チームの勝利に大きく貢献した。

 荒木に、この3試合について「先発出場、試合中盤での代打、延長戦での代打と、それぞれ状況も役割も違い、準備が大変だったのでは?」と聞くと、こう答えてくれた。

「僕はレギュラーで出ていませんし、控えとしていつでも試合に入れる準備はしておかないといけないですからね。先発出場の選手よりも先々の展開を考えて、ベンチで行動しないといけないと思っています。そこは気を遣うところですね。今はほとんど代打に限られているので、そこを主に考えて準備しています」

 6月22日のロッテ戦(神宮球場)、序盤に4点を失ったヤクルトは、4回裏に2点を返して、なおも一死満塁のチャンスで荒木を代打に送った。この日までの荒木の代打率は.393で、まさに”代打の切り札”としての起用が続いていた。