2019.04.13

オリ平井正史コーチが説く救援論
「スタートがよければ1年間持つ」

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

【連載】チームを変えるコーチの言葉~平井正史(1)

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 それはオリックスのキャンプ地ならではの光景だった。今年2月中旬、宮崎市清武総合運動公園。最大10人が同時に投球練習できる壮大なブルペンに入ると、通算284勝の球団OBで臨時コーチの山田久志(元・阪急)が各投手を見守っている。その視線の先、マウンド奥のスペースでは、投手コーチの平井正史がフォームをチェックしている。長年の師弟関係にある両者が、ともに後輩たちの指導に当たっていた。

現役時代は先発、抑えともに経験し結果を残した平井正史コーチ オリックスは昨年4位ながら、チーム防御率3.6912球団トップ。とくに救援陣は鉄壁の布陣を誇っていた。しかしオフには金子弐大(現・日本ハム)、西勇輝(現・阪神)が抜け、山本由伸が先発に再転向するなど、西村徳文新監督は投手陣全体の再編を余儀なくされた。試合中のブルペンを取り仕切る平井は、この状況をどうとらえているのだろう。かつて山田の指導でオリックスの抑えとなり、1995年のリーグ優勝に貢献した平井に聞いた。

「うちは金子、西も抜けて、若いピッチャーが多くなりました。今、ひと言で言うなら”投げたがり”がほしいです。怖がらず、やられることとか考えずに、『僕に投げさせてください』って言う選手がいっぱい出てきてもらいたい」

 山本をはじめ澤田圭佑、近藤大亮、黒木優太と、25歳前後の投手たちは、体調に問題がなければ年間50試合を投げられる技量、力量の持ち主だ。十分に”投げたがり”だと思えるのだが……。

「いや、いることはいるんです。ただ、ブルペンに電話がかかってきて固まる選手というのは、自分のなかであまり信じることができない。不安だから隠れるんじゃなくて『オレが出ていく』ぐらいの気持ちを見せてほしいんです。もちろん、僕ら現役のときもありましたよ。電話がかかってきて、『あっ、オレじゃん。嫌やな、今日……』っていう時が(笑)。それでも、ブルペンっていう仕事はいつどんな状況でも投げなきゃいけないので、そこでスイッチがピッと入って、『ここはオレじゃないと!』ってなるぐらいの選手が僕は好きですね」