2019.04.11

大瀬良大地、成績向上の秘密。
「土踏まずで腕を振る感覚」を得た

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

 2019年3月29日、広島・大瀬良大地が初めて開幕戦のマウンドに上がった。2014年に新人王を獲得しながら、中継ぎへの配置転換やケガもあった。ここまでの道のりは平坦なものではなかった。ただ、3年ぶりに2ケタ勝利をマークした2017年から、その輝きは年々増している。それはある人物との出会いが大きなきっかけとなった。パフォーマンスコーディネーターとして元広島の黒田博樹氏や新井貴浩氏らをサポートしたこともある”上達屋”を主宰する手塚一志氏だ。

 プロアスリートだけでなく、自分の体を理に適った動きに操る”操育(そういく)”も指導。都内に運動できる工房を2つ持ち、2017年には広島でも開設。今年3月にも横浜に新施設が完成した。これまで数々のアスリートを見てきた手塚氏に、大瀬良が飛躍した原因、そして今シーズンの可能性について聞いた。

昨シーズン15勝8敗を記録し、最多勝、最高勝率のタイトルを獲得した大瀬良大地―― 大瀬良投手との出会いはいつだったのでしょうか。

「きっかけをつくってくれたのは黒田(博樹)さんでした。ボクを薦めてくれたようで、大瀬良さんが黒田さん、石原(慶幸)さんと一緒にいる時に連絡をいただいて、2016年に京都で初めて会いました。その日、ボクシングの世界タイトル戦を制し、チャンピオンになったスーパーバンタム級の小国以載(おぐに・ゆきのり)選手が続けてきた体操を大瀬良さんに試しでやってもらったのですが、足を思うように動かせることができなかったんです。正直、驚きました」

―― カラダの使い方がわかっていなかったのですか。

「足先の筋肉を操作するための神経ネットワークが構築されていない感じでした。脳も神経も筋肉もつながっていない。なので、どこをどう意識すれば自分の足が思いどおりに動くのかがイメージできていないようでした。小国選手はすでにこの体操を80回以上繰り返していて、運動の連動性が向上し、パンチやステップが磨かれていました。でも、大瀬良さんは同じことができなかった。ドラフト1位でプロ野球の世界に入ってきて、新人王も獲っている。それが『本当に?』というくらい、神経や筋肉をつなげていくネットワークが足になかったんです。我々の作業は一瞬で明確になりました」