転職サイト登録→まさかのドラフト7位。
26歳で始まる奇跡のプロ人生 (3ページ目)
最速154キロを誇る奥村をもってしても、ドラフト上位右腕が叩き出すストレートは球威、スピードともに異次元だった。さらにチームには千賀滉大や森唯斗といった日本代表クラスの剛腕もいる。奥村も140キロ台後半のストレートをマークするも、やはり"居心地の悪さ"は感じていたという。
「カーブ、スライダー、カットボール、フォークとすべての球種を使い切ること。顔を振って体を大きく使うフォームもそうだし、ボールを動かすこと。自分は経験によって練り上げてきた投球術で勝負するしかない」
全球種が解禁となった第3クール以降は、状態も評価も上昇。シート打撃で対戦した柳田悠岐から「お前のような球は見たことがない。面白いと思うよ」と肩を叩かれ、工藤公康監督からも「真っすぐは素直な回転じゃない。持ち味が出せていた」と賞賛された。
また倉野信次コーチは「ブルペンよりも実戦で映えるタイプ」と語るなど、開幕一軍に向けて着実に歩を進める奥村の現状を評価する。
「突然のケガだとか疲労のたまり方だとか、目に見えない部分に対する怖さはありますが、目に見えているものに対する恐怖心はいっさいありません」
強気の姿勢を崩さない26歳のオールドルーキー。幾度もの危機を乗り越えてきた男の矜持を見たような気がした。
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