2019.02.09

ホークス育成に「奪Sh!」を象徴する男。
周東佑京の快足は脅威だ

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 球団史上初の3年連続日本一へ挑むソフトバンク。今年のスローガンは「奪Sh!(ダッシュ)」だ。工藤公康監督がその意味を熱弁する。

「昨年はリーグ優勝できずに2位に終わりました。日本一にはなったけど、悔しい思いをした。来年は奪い返して、リーグ優勝、日本一になる。その強い思いを込めてこのスローガンにしました」

 毎年だが、スローガンはまず球団のなかで数十の候補の中から45つほどに絞られ、最終的には工藤監督もミーティングに参加をして決定される。今年目指すべき方向、今年やりたい野球がその短い言葉の中に集約されているのだ。

 リーグ優勝を奪いとる、ペナントを奪い返す。そのうえで日本一へ。

 また、スピード感あふれる言葉にもなっている。ここにもう1つの意味が込められている。

「昨シーズンはホームラン12球団トップ(202本塁打)でしたが、走塁や盗塁の分が足りていなかったと感じています。全力疾走、塁を盗む、次の塁へ積極的に走るという強い気持ちもこめた『奪Sh!』でもあるのです」(工藤監督)

 今年のホークスは、走る、走る、走る。つまり俊足選手にはかなりチャンスが訪れるというわけだ。

昨年、育成選手ながらウエスタン・リーグの盗塁王に輝いた周東佑京

 その「奪Sh!」の象徴とも言える選手が、まだ背番号3ケタの育成選手にも関わらず、今春のキャンプでA組スタートを果たしている。

 その男の名は、周東佑京(しゅうとう・うきょう)。

 群馬県出身、東農大北海道オホーツク硬式野球部から育成ドラフト2位で入団し2年目になる。「5057の俊足」とスカウト評。一塁到達もプロトップレベルの3秒8を記録していた。また、大学のリーグ戦では出場70試合ほどで通算40盗塁をマークしたという(本人談)。

 1年目の春先から、ある動画がきっかけで話題の人となった。

 二軍戦中継でのこと。平凡なショートゴロを放ったように見えたのだが、それを内野安打にしてしまったのだ。まさに驚異のスピード。その後も二塁打と思われた当たりを三塁打にしたり、強いゴロでもぎりぎりアウトだったり、周東の”快足”は若鷹ウォッチャーの心を躍らせた。シーズンが終わってみれば、ウエスタン・リーグ盗塁王(27個)に輝いた。