丸佳浩が抜けた穴をどう埋めるか。広島が「危機」を4連覇に変える術
広島が難題に挑もうとしている。2019年、セ・リーグではV9の巨人以来2球団目(3度目)、両リーグでも4球団目(6度目)の4連覇がかかっている。
ただ、シーズン終盤に引退を表明していた新井貴浩に続き、主力の丸佳浩がFAで巨人へ移籍し、退団したブラッド・エルドレッドを含めれば、主力野手が3人も抜けた。4連覇というミッションはさらに難しくなったといえる。
加えて、3連覇中の広島を止めるべく、他球団は補強を進める。丸を引き抜いた巨人は、オリックスの中島裕之、マリナーズの岩隈久志、西武の炭谷銀仁朗と、原辰徳3次政権を前に大補強を敢行した。
また矢野燿大(あきひろ)新監督を迎えた阪神も、オリックスから西勇輝、中日からオネルキ・ガルシアを獲得するなど積極的な補強が目立つ。
2018年シーズン、自己最多となる107試合に出場した西川龍馬 一方で広島は、主力野手が抜けても、大きな補強は見られない。外国人選手も投手中心。10月のドラフトも即戦力を重視せず、素材型の指名が中心だった。残す補強といえば、巨人へ移籍した丸の人的補償が誰になるのか......くらいだろう。
ただ、チームを指揮する緒方孝市監督は冷静に現実を受け止める。
「うちはそういうチームだから。1年でガラッとチームが変わるようなチームじゃない。ここで勝って、いろんな方から、ファンから評価をしてもらう。そのためにも結果を残さないといけない」
的確なドラフト戦略と、中期的な若手育成の両輪でチームを3連覇に導いた。巨人の大型補強などは今に始まったことではない。毎年チャレンジャーとしてシーズンに臨んだ結果が、3連覇につながった。今回もまたチャレンジャーのつもりでいる。
ただ、自信がないわけではない。周囲の不安の声をかき消すように、指揮官は語気を強める。
「25年ぶりに優勝した時もマエケン(前田健太/ロサンゼルス・ドジャース)という絶対的なエースが抜けて勝ち取った。連覇にしても、黒田(博樹)という精神的な大きな柱がいなくなったあとでの連覇だった」
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