丸佳浩が抜けた穴をどう埋めるか。広島が「危機」を4連覇に変える術 (2ページ目)

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

 25年ぶり優勝を果たした2016年は、鈴木誠也が中軸に成長し、1年目の岡田明丈も貴重な駒となった。連覇した2017年は、3年目の薮田和樹や安部友裕、アカデミー出身のビエル・バティスタが台頭。3連覇の2018年は、4年目の野間峻祥(たかよし)や高卒2年目のアドゥワ誠、またもアカデミー出身の支配下選手1年目ヘロニモ・フランスアが結果を残した。

 誰かが抜ければ、新たな選手が台頭する。チーム内の代謝を活性化させることで、ピンチをチャンスに変えてきた。そういった意味でも、2019年は広島の真価が問われるシーズンとなりそうだ。

 そんな新シーズンで期待されるのは誰か。まず丸が抜けたセンターには、2018年に飛躍のきっかけをつかんだ野間が有力視される。指揮官が「丸が抜けても外野の守備力は落ちないと思っている」という言葉からも、野間の信頼は厚い。

 あとは打撃でどれだけの数字を残せるか。「外野は打てないと使ってもらえない」と本人は危機感を口にする。

 それだけに201812月上旬のハワイへの優勝旅行を辞退。「(前年優勝旅行へ行って)オフが短く感じたから」とトレーニングに時間を充てた。

 今オフは、丸がいない室内練習場でひとり打ち込む姿が見られた。肉体強化に重きを置いた昨オフから、今オフは技術練習の比重を高めた。

 球場の施設を利用できるギリギリまでトレーニングを行ない、オフの間通い続けたジムでも自ら追い込んだ。「来年やらなければ終わり。それくらいの気持ちでやらないといけない」と悲壮な覚悟がにじむ。

 6年連続ゴールデングラブ賞受賞の丸に劣らない守備力は持っている。センターの穴を埋めつつ、バッティングでも上位打線を任せられるだけの成長を示したい。

 2018年は試行錯誤を続けながらも長期スランプはなく、規定打席到達にたどりついた。

「もちろん周りから見てもらった客観性も必要。ただ、そこに自分の感覚がなければ、軸もなくなる。(自分を)見失ってしまう」

 自分の感覚を探りながら、飛躍のきっかけをつかんだ。そこで得た"自分の感覚"を今オフも確認するように、ひとりバットを振り込んでいる。

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