大家友和が力説。「資格を持った
人間にしか投げられない」魔球がある (3ページ目)
「とにかくいろんな資格が必要なんです。『簡単ではない』とひと言では言えますが、みなさんには理解してもらう言葉が見つからないほどとても深いんです」
気象条件も大きな要素だという。存在と知識と倫理のようなものが交錯する大家の話はまるで哲学のようだ。ゆえに「いずれなくなる運命」と述べるに至ったのだろう。
「ただ、なくなったとしてもまた投げたい人が現れるかもしれない。その人に資格があるかはわからない。資格を持った人間でなければ投げることは叶いません。そこには奇跡的な出会いが必要なんです」
前出の山﨑に大家の話を伝えると、しばし宙をにらみ思案すると、慎重に言葉を口にした。
「わからないこともないのですが、僕自身ずっと投げきているわけではないので、掴めるようで掴めない話ですね。ただ、ナックルはつきっきりで付き合わないと難しいボールだということは間違いないと思います。勉強して、練習をして、関係を深める。あれだけで勝負しようという強い覚悟がなければいけないボールだと思いますね」
バットを振る打者はもちろん、投げる人間の深層心理までをも困惑させるまさに生き物のごとく異彩を発する"魔球"。果たして今後、日本の公式戦で見られる日は訪れるのだろうか。
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