セ新人王獲得の東克樹。あの日の巨人戦を振り返り「来季につながる」

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

 2018年シーズン、「左腕王国」とも言われるDeNAにおいて、ルーキー左腕・東克樹の存在感は際立っていた。チームトップの11勝(5敗)を挙げ、最後までCS争いを繰り広げたチームをけん引。堂々のセ・リーグ新人王に輝いた。

 開幕前に「2ケタ勝利」と「新人王」を目標に掲げていた23歳の新星は、プロ1年目のシーズンをどのように戦っていたのか。プロの世界で感じた不安や手応えなどを、東本人に直撃した。

入団1年目で11勝を挙げ、セ・リーグの新人王に輝いた東入団1年目で11勝を挙げ、セ・リーグの新人王に輝いた東――その髪型はパーマをかけているのですか?

「はい、かけています(笑)。4月ごろに気分を変えようとパーマをかけたら、しっくりきたので。2カ月に1回くらいのペースで、横浜の美容室に通っています。パーマは意外とセットが楽なんですよ(笑)」

――気になっていた疑問が解決されました(笑)。本題に入りまして、東投手は小学校1年生から野球を始められましたが、地元の軟式野球チーム「三重クラブ野球少年団」でプレーしていた時はどんな野球少年でしたか?

「子供の頃は巨人が好きで、打つことも好きでしたから高橋由伸さんのファンでした。本格的に投手をやりだした小学校3年生くらいからは、ヤクルトの石川(雅規)さんに憧れていましたね。コントロールと変化球で勝負するところが魅力で、実際にプロに入って間近で投球を見た時には、あらためてすごさを感じました。僕も、プロの世界で長く先発ローテを守れる投手になりたいです」

――高校時代は、ソフトバンクの工藤公康監督やイチロー選手(現シアトル・マリナーズ)など、多くの名選手を輩出した愛知県の名門・愛工大名電で活躍しましたね。

「その伝統に恥じないプレーをいつも心がけています。3つ上の先輩にあたる日本ハムの谷口雄也選手は、僕が中学時代に所属していた四日市トップエースボーイズの先輩でもあったので、プロ入り前から仲良くさせていただいています」

――その後、立命館大学を経て2017年のドラフト1位でDeNAに入団。「2ケタ勝利」と「新人王」を目標に掲げ、見事にそのふたつを達成しましたね。

「自分で口にはしましたが、実は、自信はまったくありませんでした。春季キャンプで調子があまり上がらず、投球の感覚もどこか違うような気がして......。また、昨年に濱口(遥大)さんが達成されたルーキーでの2ケタ勝利を、僕も期待されていることへの重圧が徐々に大きくなっていきました。左投手の先発が豊富だというチーム状況を考える以前に、その不安が常にありましたね」

1 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る