トライアウトに臨んだ佐藤世那。
旧友との約束実現へ「現役を続けたい」 (3ページ目)
今後はNPB球団を中心にオファーを待つ意向を明かした。現役続行にこだわりを見せる背景には、ひとつの"約束"がある。
「戦力外通告を受けたときに、高校時代にバッテリーを組んでいた郡司(裕也/慶応義塾大)から連絡があったんです。『プロで世那とバッテリーを組むのがオレの目標なんだよ』と言ってくれて......。郡司は必ずプロに入る存在だと思っているので、その時に自分も同じ世界にいられるようにしたいんです」
終始緊張した面持ちで報道陣の質問に答えていた佐藤の表情が、わずかながらもほころんだ瞬間があった。「手応えを感じたボールはあったか」と尋ねたときのことだ。
「マウンドに上がった直後の投球練習のとき......ですね。いい感じで脱力した体重移動からリリースできたボールがありました。実際の対戦では、打者を意識してしまって同じようには投げられなかったんですが、あの投球練習のボールにはいい感触がありました」
長年の野球人生をともに歩んだ"相棒"とも呼べるフォームで戦ったトライアウト。わずかながらも取り戻せた「このフォームで戦える」という自信と、果たすべき友との約束を胸に、若干21歳の右腕は吉報を待っている。
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