広島のレジェンド・北別府が伝授「日本一へ、ホークス打線の攻略法」
「よそ行きの野球なんかせずに、カープらしさを出して戦ってほしいね」
明日から始まる日本シリーズを前に、そうエールを送るのは、かつての赤ヘル黄金時代のエース・北別府学氏だ。
自身は、広島初優勝の1975年のドラフト1位で都城農業高校(宮崎)から入団。1978、79年の連覇の時には、若きエースとして日本シリーズの舞台に立った。その後も1984年に日本一、86年、91年も投手陣の柱としてリーグ優勝を果たすなど、栄光の歴史を支えた伝説のエースである。
ただ、通算213勝という偉大な記録の持ち主は、日本シリーズでは勝ち星に恵まれず、11試合に登板(先発は6試合)して0勝。誰よりも短期決戦の難しさを知っている北別府氏に、34年ぶり日本一を目指すカープの戦い方についてうかがった。
北別府氏が広島投手陣のキーマンに挙げた大瀬良大地 今年の日本シリーズは、広島カープと福岡ソフトバンクホークスという強力打線が売りのチーム同士の対戦になったが、両チームの打線について北別府氏は「似て非なるもの」と言う。だからこそ、広島は広島の戦い方を貫くべきだと力説する。
「交流戦を見ていると、やっぱりセ・リーグとパ・リーグの野球は違います。とくに、追い込まれた時にその違いが如実に出る。パ・リーグはパワーベースボール。追い込まれてもどんどん振ってくる。逆にセ・リーグは追い込まれてからでも粘る。カープ打線は強打のイメージがあるけど、本質はつなぐ野球。とにかく次の打者、次の打者へとつないでいく。日本シリーズでも色気を出さず、シーズンどおりの攻撃をすべきですね」
北別府氏が広島打線のキーマンに挙げたのは、丸佳浩と鈴木誠也のふたりだ。
「1、2番はとにかく塁に出ることに徹して、このふたりに回していく。もちろん、ランナーを還す役割はあるんだけど、次の打者につないでいく。その意識だけは忘れないでほしい。これぞ広島らしい攻撃。これができれば大丈夫だね」
この日本シリーズを最後に現役引退するベテランの新井貴浩は、広島を"家族"と表現した。その一体感を打線全体で共有できれば、昨年の覇者・ホークス相手にも得点を重ねることができるだろう。
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